「働かないアリ」が誕生するとアリの巣はやがてどうなるか?
京都大学大学院農学研究科助教
昆虫生態学研究者:土畑重人 さんの記事を抜粋
(*読みやすいように、内容は変えず文章を編集)
働かないアリ、「アミメアリ」
(※行列しているアリは大半がアメミアリ)
普通、
アリは女王アリと働きアリがいて、
女王アリは産卵し、
働きアリがエサを運び巣を管理しているんですが、
アメミアリは変わっていて、
全員が卵を産み、
みんなに平等にエサを与え、みんなで育てる。
女王とワーカーという、
いわゆる階級の差が無いんです。
共同で助け合って平等な社会を形成しています。
ある意味、
理想の社会を実現しています。
ところが、
アメミアリの組織には、
何故か働かないアリが存在する。
そして、
働かないアリが誕生し、
増殖していくと、
アメミアリの社会はどうなっていくのでしょうか?
ちなみに、
「働かないアリ」は遺伝的に決まっていて、
働かないアリの子はやっぱり働かない。
そうなると、
働かないアリが一定の割合で増えていきます。
働きアリは、
その特性をますます強め、
社会を維持するために、
働かないアリの割合が増えれば増えるほど、
働くアリの労働量がどんどん増えていきます。
つまり、
働かないアリが増えれば増えるほど、
働くアリが社会の維持のため、
もっともっと働くようになります。
やがて、
アリは過労死してしまいます。
結果として、
さらに「働かないアリの割合が増える」
土畑先生は、
大きな二つの瓶を机の上に並べ、
一つは働きアリだけの瓶。
もう一つは働かないアリだけの瓶を研究した!
働きアリたちのみの瓶は、
卵も元気で巣もキレイに保たれているのに対して、
働かないアリたちのみの瓶は、
卵の多くは死んでしまい、
巣も掃除しないから非常に汚い。
働きアリの協力に甘え、
ただ乗りするだけの働かないアリが、
組織の過半数を超えると、
エサもなくなり、
子供も成長できず、
巣は汚れ、
衛生環境も劣悪になり、
社会が維持できず、
ついには自分たちも死に絶えて、
2万匹いるという一つの巣が消滅してしまうという。
しかし、
死に絶える寸前に生き延びた最後の働かないアリは、他の巣に潜り込み、
再び子を産み、
働かない遺伝子を継続しながら、
新たな巣を食いつぶしていく・・・
そして、
悲劇は繰り返される。
そうです。
非常に面白い文献です。
働かない社員を守るために、
働く社員が疲弊しすぎることをイメージし、
その組織で、
幸福がより得られる社員は誰なのか?
組織の在り方を問うて見たいです。
問題社員のフォローに時間をかけすぎる組織、
問題を出さない人が、
より成長していくために時間をかける組織。
どんな社員に、
エネルギーを注ぐのかで、
組織の未来展望は大きく変わります。