あれはまだ中学生のころ。
想いを寄せる好きな人に、
自分の気持ちを伝える手段は
告白か、ラブレターだけだった。
今の世の中のように
ケータイやメールなんてなかったから
電話をしたり、友達に頼んで
呼び出したりすることさえドキドキだった。
今読めば、きっと恥ずかしくなるような
ラブレターをしたためた。
「きっとうまく行くよ」という友人もいれば
「ラブレターが破レター!」なんて茶化すヤツもいたな。
そんな幼き日の淡い恋も
結局はフラれて終わったっけ。
同窓会で会ったその人は
そんなことすら覚えていない、と笑い話になった。
・・・そんなことを思い出したのは
今ここに何十年ぶりのラブレターがあるから。
丁寧に、想いをこめて、したためた
大人になってからのラブレター。
あの時味わった、何十年ぶりかの緊張感。
ポストの前で、ぐっと封筒を握り締め、
念を入れて、投函。
この仕草、この気持ち、あの時と一緒だ・・・。
いつ返事が来るかわからない。
相手は悩んでいるのか、忘れているのか、
それとも郵便事故か、
・・・なんてありえない心配をする毎日。
そして、数日後。
封筒が1通、ポストに入っていた。
差出人は彼女。
一気に高鳴る鼓動と心の高揚。
その場で中を開けたい気持ちを抑え、
ハサミでゆっくりと封を開ける。
中には丁寧な言葉で書かれた・・・お断りの手紙。
あの時と同じ、僕の手に舞い降りた破レターになった。
破レター・・・誰もが経験する幼き日々の淡い思い出。
破レター・・・将来必ず笑い話になるステキな思い出。
破レター・・・願い届かず、儚く散った無残な思い出。
破レター・・・クレオタはそれを「不幸の手紙」という。(爆)