公平な選挙(現職対新人の場合)の投票について 

岸田首相が退陣を表明した後、マスコミでは次の自民党総裁が誰になるのか、選挙の話題で持ちきりです。今般の総裁選挙では、現職である岸田さんが立候補しないので、現職対新人ではなく、新人だけの戦いという形となりました。派閥のくびきから解放されたかのごとく、多くの議員が立候補を検討されているようで、より興味深くなり、国民の関心が高まっているのではないでしょうか。

 

でも、大抵、現職と新人数名が立候補する形が多くなります。この場合、現職が有利と言われますし、実際、選挙結果は大抵現職が勝利します。そうすると、選挙結果が判明する前から結果が見えているようで、あまり興味をそそられません。初めから勝敗の結果がわかっているような(スポーツなどの)試合を真剣に観戦することがないのと似ています。

もし、本当に現職が有利だとしたら、新人はいつまで経っても選挙に勝てないし、一度誰かが当選すると、その人が引退するまでいつまでも同じ人がその地位にとどまることになります。この現象は知事選挙や市区町村長選挙でよく見られるし、おそらく現職は有利なのだろうと思っています。

 

それでは、何故現職は有利なのでしょうか?私は、おそらく知名度と実績の差だと思います。知事選挙や市区長村選挙では、現職であれ新人であれ、立候補する人が全国的な知名度を持っているケースは少ないと思います。全国的な知名度ではほぼ同等だとしても、その地域内においては、通常、現職の方が知名度が高いと思われます。

 

実績に関しては更に格差が大きく、(多くの場合)新人候補者は知事や市長の経験がなく、現職は(当然ながら)その役職の経験があります。

このように、知名度と実績で競争するとしたら、現職が極めて有利なので、現職が勝つのは当然のように思われます。そうだとすると、選挙をする意味がないように感じます。一体何のために選挙をするのでしょうか。

 

選挙というのは、国民の審判などと言われますが、有権者が政治を評価をするという意味があるはずです。では候補者の何を評価するのでしょうか。

 

現職候補者に対しては、現職が知事や市長としてこれまで実施してきた政治活動を評価することだと考えています。その現職候補者の任期中に実施してきた政治的活動が、本当に有権者の期待に応えるものだったのか、その結果を評価すること。実績が重要です。どのような実績を上げたのか、この点で評価されるべきだと考えます。

 

それに対して、新人候補者に対しては、将来性や期待値に基づいて、あるいは政治家としてあるべき資質を持っているのかどうか、また、当選後、どのような成果を目指すのか、そういった点が評価されるべきでしょう。

 

つまり、現職を評価するポイント(視点)と新人を評価するポイント(視点)は全く異なります。

 

評価するポイント、見方が異なるのに、ずらっと並べられた候補者の一覧から誰か一人を選ぶ、という方式は公平とは言えないのではないでしょうか。明らかに現職が有利な仕組みだと思えるのですが。

 

そこで、投票用紙に一工夫加えるとともに、現職と新人との格差を縮めるための方式へ変更してはどうかと考えました。

まず、有権者は現職をどのように評価するか(実績を評価するかどうか)を意思表示します。すなわち、
①現職の継続を望む
②現職の交代を望む
のいずれかに丸をします。


次に②に丸をつけた人は、新人の中から誰かの名前を記入します。①に丸をつけた人は何も記入しない。

 

上記の結果を集計し、①の数より②の数が多い時は、現職は退任する。そして、②の候補者の中で最も数の多い候補者が当選する。

このような2段階方式にすれば、現職の任期中の実績を意識して投票することになり、評価ポイントが明確になります。現職は投票総数の過半数から信任されないと落選となります。現職候補にとっては、現状よりも厳しくなりますが、その分だけ任期中に実績を上げるべく、より努力するようになるのではないでしょうか。

 

新人候補者に関して、従来は候補者数が多いと票が分散し、たとえ有権者が現職に不満を持っていたとしても、当選できないという状況がありました。上記方式であれば、票数が全体の半分以下であっても、新人候補者の中で一番になれば当選できます。

 

知事や市区町村長の首長選挙で同じ人がいつまでも地位に居座っていて、マンネリ化し、変革が実現しない、といったことはないでしょうか。同一人物が長い間政治に携わることが、必ず悪い結果を生むわけではありませんが、一度当選したら、そのあとは大した成果をあげなくても地位を維持できるような仕組みだと、大きな成長を期待できないと思います。自治体の首長は大きな責任と権限を保有しているのですから、任期中の実績について厳しく問われるのは当然です。定められた任期の中で成果を出す、出せなければ潔く退く、それがプロというものだと思います。上記のような方式に変更し、自治体の首長が任期中に成果を出すよう、奮闘してほしいと期待します。