行ってわかった、マチュピチュが世界遺産ランキングトップに君臨する理由

世界遺産に関してアンケートを取ると、どんな調査をしてもマチュピチュがトップになる、といった記事を読んだことがあります。ネットで色々と調べてみると、いつもトップではないにせよ、マチュピチュは必ず上位にランキングしています。

 

日本からだとペルーは遠い国です。距離が遠いというだけでなく、ペルーという国がどんな国なのか、あまり知られていません。インカ文明という言葉は知っていても、それがどのようなものなのか、マヤ文明と何が違うのか、自分はほとんど何も知らないことに気付かされます。マチュピチュの知名度は抜群ですが、どうして評価が高いのか、その真価が今一つ分かっていませんでした。でも、旅行好きなら一度は行ってみたい場所、死ぬまでに行きたい場所の一つです。今月、遂にマチュピチュへ行って来れたので、その印象を書いてみたいと思います。

 

マチュピチュの写真は誰もが目にしたことがあるはず。その写真を見て、景色は綺麗そうだけど、遺跡としては地味というか、インパクトに欠ける、などと思ったことはありませんか?写真を見た時の正直な感想はそのような物でした。実際に訪れてみて思うことは、マチュピチュの良さは、その立地に加えて、遺跡へ行くまでのアプローチを含めた旅全体にある。と感じました。

 

マチュピチュは不便なところです。行くまでが大変です。ペルーの首都リマへ行く直行便などありません。距離が遠すぎて、飛行機の燃料が足りません。どうしても乗り継ぐ必要があります。私のツアーはメキシコシティ乗り継ぎでした。乗り継ぎ時間は8時間です。リマからクスコへと国内線で飛びます。クスコの標高は3400メートルです。飛行機でいきなりそんな高地へ飛ぶと、必ず高山病の症状が出ます。私だけでなく同行したツアーメンバーの多くに軽度の高山病の症状が出ました。

 

クスコからバスでオリャンタイタンポまで行きます。(2時間程度のドライブ)クスコの街を出ると峠越えの山道で、標高3800メートルまで登ります。その後は山道を下って行きます。バスからアンデス山脈や牧歌的な村々の景色を眺めることができます。やがて、標高2800メートルのオリャンタイタンポに到着します。ここから展望列車に乗り換えます。この列車は眺めが良いのですが、荷物棚がなく、手荷物は椅子と椅子の間に置きます。なお、スーツケースは持ち込めません。列車内には少しだけスーツケースを置くスペースがあるものの、乗客全員分のスーツケースを置く場所はありません。ツアーでは、スーツケースをクスコの空港に預け、各自、手荷物だけで移動しました。

(バス移動の途中の写真)

列車は両岸が渓谷沿いを走ります。とても深い谷で両岸は絶壁の山です。アンデス山脈の麓から熱帯雨林のジャングルの入り口(マチュピチュ村)へと向かう旅です。(1時間40分)マチュピチュに着く頃、私はもうフラフラでした。まだ頭は高山病で痛いし、バスは激しく揺れるし、列車の旅は楽しいのですが、移動の連続で体はクタクタでした。

(列車から見た渓谷)

マチュピチュ村のホテルで泊まり、翌朝遺跡へと向かいます。村から遺跡まではバスに乗ります。道は狭い山道で、バスは急なカーブをなん度も曲がりながら登って行きます。谷側は絶壁でガードレールなどありません。谷底をみると怖いです。バスの終点が遺跡の入り口です。ようやくマチュピチュ遺跡へやってきました。

(山に囲まれたマチュピチュ村)

遺跡の入り口から山道を登ります。最初は何も見えません。やがて周囲の山々が見え始め、そして、突然目の前が大きく開けて、例の景色、写真で見る景色が目の前に広がるのです。これは言葉に言い表せない感動があります。写真で見るのと、その場にいるのとは全く違います。体験した人だけがわかる感覚だろうと思います。ガイドは、マチュピチュが世界一のパワースポットだと言ってました。世界一かどうかはさておき、周囲の景観と遺跡がマッチした姿には独特の空気感がありました。

(雨と霧の中の遺跡)

マチュピチュの遺跡部分だけを比較すると、もっと規模が大きいとか、迫力のある遺跡はいくらでもあります。マチュピチュの魅力は、切り立った山々と深い渓谷の中のとりわけ神聖な(スピリチュアルな)場所に作られた神殿と村の痕跡が破壊されずに残っていること、および、クスコからのアプローチの長さ、大変さと手付かずの自然を味わえること、この点にあると考えています。

 

日本からマチュピチュまでの旅は決して楽な旅ではありません。体力が必要です。高山病の症状にも悩まされます。お金も時間もかかります。大変な思いをして行ったからこそ、その分大きな感動が味わえるのであり、思い出に残るのでしょう。マチュピチュ旅行には旅の魅力が凝縮されています。