ひょっとしてAIバブル?

昨晩、ユーチューブのPIVOTチャンネルで、インテルのAI PCに関する話を見ました。インテルがAIを動かすのに適したプロセッサーを開発し、世界に拡販しようとしているそうです。ここで私の興味を引いたのは以下の点です。

 

・アマゾンなどのIT企業が、AIに対応するため、こぞってクラウドに莫大な設備投資をしていること。

・AI対応のクラウドは大量の電力を消費する。

・その莫大なコストはいずれ消費者に跳ね返ってくるはずで、サブスクの料金値上げにつながるのではないか。

 

つい先日もアマゾンのクラウドサービスAWSを拡充するため、日本に巨額の設備投資を行うといったニュースを見ました。

 

AWS、日本への 2 兆 2,600 億円の投資計画を発表 2027 年までに国内クラウドインフラに継続投資

 

このような景気の良いニュースは、確かに日本経済に貢献するとは思いますが、クラウドサービスは大量に電力を消費するので、環境問題の観点からはマイナスです。そもそも、AIのためにこれほどの投資をする意義はあるのでしょうか。クラウドサービスはそれほど役にたつものなのでしょうか。

 

インテルの新しいAI PCは、クラウドの拡大に対するアンチテーゼのような回答を提示しています。インテルの新しいプロセッサーは高度なAIを操作するのに適しており、このプロセッサーを用いたソフトを開発することで、パソコン上で(クラウドに繋がなくても)AIサービスを享受できると言います。業務上、本当に必要なデータに絞り込むことで、別にクラウドに接続しなくても、パソコンの中だけで、その業務に役立つAIソフトを作成し、効率化をはかろうというアイデアです。

 

企業にせよ個人にせよ、様々なデータをクラウドに接続することは、セキュリティ上のリスクがあります。自分のデータを何でもクラウドに提供することは、あまり気持ちの良いものではありません。ネットに繋がなくても、机上にあるパソコンの中だけで仕事が完結するのなら、それに越したことはありません。

 

莫大なコストを投じ、環境に多大な負荷をかけてまでクラウドサービスを拡張することに疑問を感じます。多くの人にとっては、それほどのデータは必要ありません。例えば、クラウドには世界中の言語の情報を吸い上げて、データを分析しているそうですが、多くの日本人にとっては、日本語のデータだけで十分ではないでしょうか。仕事が医療関係の人ならば、医療に関するデータだけを分析すれば良いのであって、それ以上の無関係な情報は不要です。自分に必要のない(関係のない)大量のデータを吸い上げてそれを維持するために、莫大なコストをかけて、その維持費用をサブスク料金に上乗せして請求されるのは納得がいきません。

 

このように考えると、今のクラウドへの設備投資は、本来は必要のないバブルのようなものかもしれません。各企業はAI化への波に乗り遅れることを懸念し、AIのために躊躇なく多大なコストを投じていますが、その費用は本当にペイするものでしょうか。AIという熱に冒されたかのように資金が動くのをみると、かつての不動産バブルやITバブルを思い出します。

 

米国のエヌビディアの時価総額は今やマイクロソフト、アップルに次ぐ規模にまで拡大したそうです。エヌビディアの売り上げや利益の伸び率をみると眼を見張るものがありますが、この拡大ペースが本当に持続可能でしょうか。インテルのAI PCは、今のトレンドに水をさす、というか、今の流れが本当に望ましいのかどうか、その再考を促しているように感じました。

 

クラウドを使ったサブスクのサービスは魅力的で、私も気がつくと多くのサブスクサービスに加入していました。けれども、自分の行動を冷静に振り返ってみると、ほとんど利用していないサービスもあります。月額は1,000円程度なので、まあいいか、と思って継続加入してきましたが、これを機に見直すこととし、いくつか解約することに決めました。時々、自分の行動を振り返って、見直してみることが肝要ですね。