メタンガスを宇宙から検知

メタンガスは地球を温暖化させる気体(温室効果ガス)の一つです。温暖化への寄与は二酸化炭素の28倍という威力があり、すべての温室効果ガスの中で、温暖化へ与える影響の23%を担っているとのことです。メタンの放出源は多岐に渡っていますが、漏れやすいので、至る所から放出されており、その把握が困難で、問題となっています。この厄介なメタンガス放出に関しての朗報がニューヨークタイムズの記事に掲載されていました。

 

6年前、この問題を解決すべく、科学者によるNPOの団体Environmental Defense Fund(EDF)が資金を集め、人工衛星を打ち上げて、宇宙からメタンガスの放出源を検知することを考えました。MethaneSATと名付けられた衛星が打ち上げられました。これは、広い範囲を探り、メタン放出源を見つけることができます。Spectrometerという装置が地球表面から反射する光を感知して空気中のメタンの量を計算するそうです。

 

EDFはMethaneSATから送信されたデータを加工し、来年には、グーグルのEarth Engineプラットフォームに載せる予定です。Earth Engineを使ってメタンガス放出のデータを公開し、メタンガス放出を減らすよう、石油やガス会社に促したいと考えています。メタンがどこから漏れているのかが判明すれば、それを修復するコストは比較的安いとのこと。メタンガスを空気中に漏れないようにして、回収すれば有効活用できます。従来、どこから漏れているのか把握できないことが主な問題でした。この人工衛星の活躍によってメタンガスの放出削減が期待されます。

 

メタンガスは二酸化炭素と並んで、地球を温暖化させる厄介な存在です。今は使われていないかつての油田の廃坑などからも放出されており、米国にはそのような古い油田がいくつもあり、そこから放出されるメタンガスの存在が問題視されています。しかし、メタンガスの放出場所が特定できないことが問題でした。今般の人工衛星は、このような廃棄された油田から放出されるメタンガスの特定にも役立つと思われます。

 

それにしても、人工衛星が地球表面のメタンガスの存在を検知できるとは思いませんでした。ちなみに、この人工衛星はSpace Xを使ったようです。民間の、NPOの団体が衛星を打ち上げるとは、すごい世の中になったものです。