総合型選抜入試? 

 

NHKダーウインが来た を見ていると、カブト虫に関して研究論文を書いたという中学生が登場しました。中学生で立派な論文を書くなんてすごい!と感嘆したのですが、そういえば最近テレビを見ていると、まだ子供なのにどうしてこんなに賢いのだろう、と感心してしまうことが結構あります。これは最近のトレンドなのか、それとも昔から起きていたのか、何か背景があるのだろうか?と気になりました。

 

今読んでいる本「シンニホン(安宅和人著)」に、以下のような記述がありました。

 

これからの時代においては、分析的に考え、構造化し人に伝える力、統計数理、線形代数、微積分を中心とした数学の力が重要である。さらに、これからの時代においては「意思」「自分らしさ」「憧れ」がもっとも大切である。

 

それでは日本の教育に関してどのような議論がされているのだろう、と思って、文部科学省のホームページを見てみました。

 

教育に関しては中央教育審議会にて話し合われています。随分と前から、多くの有識者が集まって議論を進めてきたようです。大学入試に関しては、「大学入試のあり方に関する検討会議」にて、2019年から議論が重ねられてきました。こういった検討内容を受けて、2021年度から一般選抜に加え、(従来のAO入試が廃止され)総合型選抜が導入されています。さらに、2025年には総合型選抜の改定がすでに予告されています。

 

 

この改定予告を読んでみると、一般選抜であれ総合型選抜であれ、

 

入学志願者本人の記載する資料等により,入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する

 

との記載があります。

本人の記載する資料等とは、

入学志願者本人が記載する資料の他,エッセイ,面接,ディベート,集団討論,プレゼンテーション,各種大会や顕彰等の記録,総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料やその面談等。

 

なるほど、合点がいきました。

私が大学受験した当時とは、全く様変わりです。私はAO入試すら内容を理解していなかったのですが、今や「総合型選抜」なるものが導入されています。そして、入学の判定には、上記のような、多種多様なものが考慮されるのです。「生徒の探究的な学習の成果」!冒頭記載した、カブト虫に関する論文発表などは、まさにこれに該当するではありませんか。

 

時代は変わりました。昔と比べると大学受験の現場は大きく変容を遂げています。大学入試で求められるものが変化すると、中学や高校での過ごし方も変化します。私の時代はペーパー試験の点数を上げるための勉強が入試の準備でした。ただそれだけでした。各種大会の結果や顕彰など考慮されることはありません。ですから、難易度の高い大学に合格したければ、ただひたすらペーパーテストの点数を上げること、それ以外はやらなくても良い、クラブ活動などやめておけ、などと言われたものです。しかし、今の中学生、高校生はもっと多様なものを求められます。大変ではありますが、選択肢は広がります。

 

時代は刻々と変化しています。しかし自分が関心を持たなければその変化に気がつくことはありません。私の子どもの大学入試時期はとっくに終了しており、最近の入試事情の変化など全く知りませんでした。知っているつもり、わかっているつもりでも、最近の事情を調べてみると、何もわかっていなかった、そんな事がよくあります。これからますます時代は急速に変化していきます。取り残されたくない、という思いはありますが、そのためには相当の努力が必要のようです。