スペイン旅行(コルドバ) 

今般のスペイン旅行で行きたかった場所はセビリアなのですが、せっかくアンダルシア地方まで行くのだから、ついでにコルドバにも寄ってみようというくらいの気持ちでコルドバへ行きました。

 

コルドバは8世紀から11世紀の間、後ウマイヤ朝の首都として繁栄した場所です。コルドバに関する私の知識は、メスキータという世界遺産になっているモスクがある、という程度でしたが、メスキータは世界史の教科書に必ず記載される有名な建築物で、一度行ってみたいと思っていました。

 

メスキータは、西ゴート時代の聖ビセンテ教会のあった場所に、イスラム教のモスクが建設され、その後、何度か拡張されます。後ウマイヤ朝が滅んでキリスト教の時代になると、モスクに祭壇が設置され、カトリック教会として使用されるようになります。その後、礼拝堂や翼廊が建設され、現在の姿となりました。最初のモスクが建築開始されたのが786年で、翼廊が完成したのは1607年です。なんと800年に渡り、建築、増築がなん度も繰り返されました。当初はイスラム教のモスクとして、その後はキリスト教の教会として長い間、人々の祈りの場として機能してきました。

メスキータの中には古代ギリシャ、ローマ、ビザンチン、ゴシック、ルネサンス、バロックと様々な洋式の装飾が施されており、その美しさと独特な歴史の融合を感じることができます。トレドのカテドラルの荘厳さも素晴らしかったのですが、コルドバのメスキータは、イスラム文化とカトリック文化の両方が混ざっていて独特です。メスキータ独自の二重アーチに施された細かい紋様、教会の天井に刻まれた像、祭壇の模様、壁画や彫刻、どれも極めて手の込んだもので、一つ一つに圧倒されます。イスラム教とキリスト教の文化が混在しているのにあまり違和感を感じることはなく、何故か全体としてバランスが取れているようにも思えます。非常に印象的な建築物で、今回のスペイン旅行で最も気に入った建物でした。

 

メスキータ以外にコルドバで有名なのは5月に行われるパティオ祭りです。コルドバ旧市街にはパティオという中庭を持つ独特の間取りの家々が立ち並んでおり、パティオ祭りの間、一般家庭の中庭が公開されるそうです。今般、一般家庭の庭は拝見できませんでしたが、宿泊したホテル(ラスカサス・デラ・フデリア)がコルドバらしい、パティオのある一般家庭の家のような間取りとなっており、とても雰囲気のあるところでした。

 

コルドバ旧市街はこぢんまりとした場所で、メスキータ以外にそれほどめぼしい観光スポットはありません。でも街並みは美しく、パティオ祭りの時に訪れると、とても楽しい場所だろうと思いました。メスキータは、わざわざ訪れる価値のある場所です。アンダルシア地方へ行くなら、是非予定に入れることをお勧めします。

 

コルドバで一泊したのち、最終目的地であるセビリアへと向かいました。