かつてゴミ処分地の不足が騒がれ、ゴミ戦争などといった言葉が飛びかったことがありました。しかし、最近あまり話題になりません。その理由として、ゴミ総排出量、一人当たりのゴミ排出量ともに減少傾向にあるからかもしれません。

 環境省が発表している一般廃棄物の排出及び処理状況等によると、

    ゴミ総排出量    一人1日あたりのゴミ

2009年 4625万トン    994g

2018年 4272万トン    938g

減少率  7.6%                     5.6%

となっており、減少傾向が見られます。

とはいえ、大量のゴミが発生していることは間違いなく、このゴミが資源になれば言う事ありません。

 

ネットで次のような記事を見つけました。

 微生物でゴミからエタノールを生成

 

 

 この技術の概要は、以下の通りです。

 

ゴミを低酸素状態でガス化し、分子レベル(CO、H2)にまで分解する。可燃性の廃棄物であればどんな材質でも問題なく、紙や生ゴミなどと、プラスチックを分別する必要もない

 

いわゆる、燃えるゴミを集めて、それをガスの状態にしてからエタノールを作るとのことです。分別の必要がないことがポイントです。燃えるゴミには様々なものが混ざっているので、分別は困難です。従って、多くの場合、燃やして処分しているはずです。

燃やす過程で生じるエネルギーを活用することは従来から行われていますが、積水化学の技術が優れているのは、燃えるゴミからエタノールを製造すること、そしてゴミの分別が不要であることです。

エタノールはそのまま燃料として使用可能ですが、エタノールからエチレンに加工することもできます。エチレンは石油化学における基礎物質なので、様々なプラスチック製品を製造できます。通常、エチレンは石油を精製してできる残り滓と言っても良いナフサから製造されますが、ゴミからエチレンを製造できれば石油に頼る必要はなくなります。

つまり、この技術を実用化すればゴミから資源を作ることができる、と言うことになります。もちろん、実用化には多くの障害があります。ゴミ処分の方法は自治体ごとにバラバラですし、ゴミをガス化するためには多くの既存のゴミ処分施設の処理方法を変える必要があるとのことです。また、専用プラントの建設に際しては近隣住民の理解も必要でしょう。

それでも、この技術が実用化に向けて進んでいるようです。岩手県久慈市において、この技術を使った実証プラントが新設中とのことでした。期待が膨らみます。

 ところで久慈市といえば、再生エネルギー100%を目指す、RE Actionのメンバーに参画している自治体です。

 

 

東日本大震災で被害を受けた久慈市ですが、復興、そして新しい未来に向けて逞しく歩み出していることを感じます。