2015年に国連サミットでSDGsが採択されました。

 

SDGsとは   Sustainable Development Goals

 

のことで、日本語では「持続可能な開発のための目標」と翻訳されています。Goalは全部で17あります。私は最近になって新ためてこのSDGsに注目し、そして昨年末から今年にかけて、(このSDGsを推進しようという)大きなウェーブが生じているのではないか、と感じています。今月1日にその思いをこのブログで書かせていただきました。

 ですが、そもそも各国が揃って共通の目標に向かって合意できた背景まではわかっていませんでした。中国、インド、ブラジル、ロシアなどの大国は、国土面積や人口という点でとても影響力のある国ですが、従来は途上国という立場で、先進諸国を批判してきたはずです。温室効果ガス削減に関しても、先進国が増やしてきたのだから先進国がまず減らすべきだ、途上国は経済開発が必要で、経済開発を阻害するような目標には従えない。という考え方が主流だった。私はそのように理解していました。だから、途上国と先進国が共通の目標に向かって進むのは、(それが理想であり、必要なことだが)難しいのではないか。と悲観的に考えていました。

 そこでSDGsが記載されている、2030Agendaの文書を読むことにしました。原文は英語であり、日本語の翻訳も用意されていますが、やはり原文を読みたかったので、原文を印刷して読み始めました。文書は35ページあって、ようやく13ページまで(17のゴールがまとめられているページの直前)読み進めましたが、13ページの最後にキーポイントとなる箇所を見つけました。途上国と先進国が合意できたのは、この文章があるからではないか、と考えています。重要な文章だと思うので、以下に原文をそのまま引用します。

 

59. We recognize that there are different approaches, visions, models and tools available to each country, in accordance with its national circumstances and priorities, to achieve sustainable development; and we reaffirm that planet Earth and its ecosystems are our common home and that "Mother Earth" is a common expression in a number of countries and regions.

 

外務省のホームページに記載されている仮約では

59.(各国の差別化)我々は、持続可能な開発の達成に向け、それぞれの国が置かれた状況及び優先事項に基づき各々に違ったアプローチ、ビジョン、モデルや利用可能な手段が変わってくることを認識する。そして、我々は、地球という惑星及びその生態系が我々の故郷であり、「母なる地球」が多くの国及び地域において共通した表現であるということを再確認する。

 

となっています。途上国には途上国の事情があり、優先順位がある、またアプローチ方法もそれぞれ異なる、ビジョンも違う、それを認識しましょう。そして持続的な開発達成へのアプローチであり、モデルであればそれを尊重すべきだ、という点を先進国が理解したのではないでしょうか。自由、民主主義というアメリカ流の価値観を一方的に押し付けるのではなく、それぞれ国によって経済モデルは異なるし、アプローチ方法も異なるのだ。アメリカにはアメリカのやり方があるでしょうが、中国には中国の方法がありますよ。といったやりとりがあったかどうかはわかりませんが、議論を尽くした結果、上記のような文章が合意されたのだと思います。

そして、地球とそのエコシステムが我々皆の家であり、その家を世界の多くの国や地域で、「母なる地球」と呼んでいることを再度確認しましょう、と。

 地球温暖化に関してはパリ協定が重要ですが、そのパリ協定も多くの国が賛同しています。米国はアメリカファーストと言って一度離脱しましたが、もうすぐ戻ってくるでしょう。そして、今年は世界の主要国が共通の目標に向かって競って進む年になるのでは、と感じています。

 ところで米国ではあろうことか、大統領が自分の保身と正当化のために民衆を扇動し、議会に雪崩こむという、到底民主主義先進国とは思えないような事件が起こりました。この点を見てもわかるとおり、民衆を下手に扇動すると暴動というのは先進国でも起こり得るのであり、米国流の統治方法がいつもうまくいくとは限らないことがよくわかります。ヨーロッパの首脳をはじめとして世界各国が非難していますが、それも当然でしょう。読売新聞の社説では、「民主主義の先導役の名が泣く」と書かれていました。

 本題から外れましたが、2030Agendaではそれぞれの国の事情は異なるのだから、それを理解しつつ、配慮しながら、共通の目標に向かって進んでいきましょう。という姿勢で臨んでいます。これがキーポイントだと思います。

 まだ全体の4割も読み終えていないのですが、なかなか興味深い文書です。これから続きを読み、早く読了しなければ、と思っています。ポイントとなる、あるいは興味深い文章を見つけたら、またこのブログに記載するつもりです。