大人向きのペーパーバックは少ししか読めていませんが、評判が高く、私もお勧めしたい本についてコメントします。

それは、ケンフォレットのThe Pillar of the Earth★★★★★です。

読みやすいジャンルとして推理小説がよく推奨されていますが、私はそれほど好きではありません。犯罪があって、その犯人を捜すという展開は確かに読みやすいけど、犯罪そのものは楽しい出来事ではないので。

このThe Pillar of the Earthは、殺人事件の謎を探すといった話ではありません。舞台は中世のイギリスです。キリスト教の理想を貫いて生きる「司祭」と、聖堂の建築に一生をかける「石工の親子」、反逆罪で領主の地位を追われた父の望みに従って、弟を領主の地位につけるために奔走する「元領主の令嬢」の3人を中心に物語は展開します。この主人公に降りかかる多くの災難や、敵対する2人の人物との様々な対決を描きながらストーリーは流れるのですが、次々といろんな出来事が起きて、退屈しません。NHK大河ドラマのようでもありますが、そんなきれいごとではなく、もっとどろどろした人間の欲望や嫉妬、恨み、暴力といったものが描かれてます。権力者である敵対者から理不尽な攻撃を受けながら、それでも主人公は自分たちの理想を実現すべく知恵をしぼって対抗します。その生き様は力強く感動的です。長編だし単語も難しいのが一杯でてきます。これを読むにはそこそこの英語力は必要だと思いますが読む価値ありです。日本語の翻訳(新潮文庫等に「大聖堂」というタイトルで)もあるので、英語を読む気がしない人は日本語でどうぞ。