4人家族なのでダイニングにあるテーブルも4人用の大きさです。当然椅子も4つ。でも母や妻の両親が泊まりにきたときなど、一緒に食事をしようとすると、椅子が足りません。以前からちょっと不便でした。「椅子がもっと必要だ」と妻も言います。そこで食事をするときに使う椅子を買うとしたら、どんな椅子がいいか、考えてみました。

 で、現時点の結論をいうと、欲しいのは「Yチェアー」です。これはデンマークのハンス ウエグナーというデザイナーの作品です。おそらく椅子の歴史に残る名作です。この椅子を知ったのは、建築家宮脇壇氏の本を読んでのことです。宮脇氏は椅子を集めるのが趣味のようで、博物館に展示されているような有名な椅子を一杯集めて持っているとのことでした。その著作「男の生活の愉しみ」にはいろんな椅子の話が出てくるのですが、食事をするときに座る椅子として、Yチェアーを推奨されていたと記憶しています。

 本を読んだ当時(今から4年前)写真でYチェアーをみて、「こんな椅子のどこがいいのだろう」と思いました。写真では、華奢で安っぽいような印象を持ったのです。その後、家具のショールームに行って有名な椅子がいろいろ展示してあったのですが、そのなかにYチェアーもありました。

 現物を見ると、写真で見た印象とはかなり異なり、決して華奢ではなく、安っぽい感じもしませんでした。十分な強度を持ち、機能的であるとともに、高級感がありました。肘掛の部分のカーブの形状をはじめ、そのフレームはシンプルだけどとても美しいものでした。私が今使っているダイニングセットも飛騨産業という家具メーカーが作ったもので、無垢の木を使っており、デザインやすわり心地も気に入っているのですが、Yチェアーの美しさにはとてもかないません。Yチェアー。いい椅子です。