遅すぎた沖縄訪問で鳩山総理の問題発言が相次いだ。そのことについてテレビでもネットでも怒号に近い批判が飛び交っている。確かにまずい発言は多かった。
 例えば「私は公約というのは選挙の時の党の考え方ということになります。党としては、という発言ではなくて、私自身の代表としての発言ということであります。」という発言。公約は選挙時の党の考え方。これは良い。まずいのはその次、「私自身の代表としての発言」というくだり。代表としての発言と党としての見解とどう違うというのか?前言と矛盾している。「総理大臣としての発言」というなら理解できる。すなわち与党としては県外移設だけれども、政府としては関係機関と調整した結果、県外移設は現実的ではないという結論に達したという説明で何も問題はない。要するに、鳩山氏は与党と政府との関係、党代表としての自分と総理大臣としての自分の立ち位置が良くわかっていないのだ。

 鳩山総理の勉強不足は今に始まったことではないが、筆者が問題視するのは総理周辺のスタッフたち。なぜQ&Aのレクチャーをしてから会見に臨ませないのか?遡って鳩山総理に限らず最近トップを丸腰で立たせる場面が多いような気がする。麻生前総理しかり故中川昭一元大臣しかりである。

 最近の日本人は危ないと感じる。もともと「長いものには巻かれろ」気質があり付和雷同に陥りやすい民族性であるが、昨今の日本人はあまりにも「時代の気分」に流されすぎる。郵政民営化だといえば流され、政権交代だといえば流される。そして政権が失敗すればその度に「リーダーがいない」と嘆く。しかしだからといって自分たちが選んだリーダーを支えようとか、かばってあげようとかいう気はさらさらなし。都合が悪くなるとトップをスケープゴートにして責任を押しつける。最低だ。

 経営の神様松下幸之助翁は「リーダたらしめるに力を貸す」という言葉を残している。いくら優秀な人材でも部下が協力しなかったらリーダーとしての力を発揮することはできない。だから部下も上司がリーダーとしての力を発揮できるように協力しなければならないという教えだ。そういう気持ちがいまの日本人には欠落しているのはないだろうか。

 官邸の組織図はよく知らないが、補佐官だか、審議官だかの人たちは一国の総理大臣にお仕えしているということを肝に銘じて、もっと使命感をもって職務に励んでいただきたい。どんなにトップがアホであっても、どんなにモチベーションが下がる職場であっても、それでも命がけでトップを守るのが「お付き」に選ばれた人間の使命なのである。