バンクーバーオリンピックが閉幕した。メダルの数こそ控えめだったものの、日本選手の活躍には感動をもらった。スポーツは本当にいいものだ。

 オリンピックを観戦しながら「グローバルスタンダード」について考えた。
 フィギュアスケート女子。世界のトップ2、キム・ヨナと浅田真央の演技には他を寄せ付けない圧倒的な迫力があった。まるで彼女たちだけに特別な領域が用意されているような、一種の神々しささえ感じずにはいられなかった。安藤美姫だって、つい最近まで真央ちゃんより順位が上だったにも関わらず、オリンピックでどんなに完璧に演技ができたとしても、あの2人にはまったく追いつけなかったであろうことは容易に想像できる。それほどまでに彼女たちと他の選手たちの間には、どうしようもない差が歴然として存在していた。

 キム・ヨナと浅田真央はこの大会において女子フィギュア界に新しい「グローバルスタンダード」を作り上げてしまった。今後、世界一になるということは、あのレベル以上で滑らなければならないということを意味している。もはや他の選手が今までの延長線上でいくら努力しても追いつくことはできない。他の選手たちにも新しいステージに上がることが求められている。そこに挑むか、諦めるか。そんな厳しい選択が選手たちを待ち受けているのだろう。

 グローバルスタンダードは常に書き換えられ続けるものだということを、19歳の2人の熾烈な闘いを観て、改めて思い知らされた。

 かつて世界の製造業のスタンダードは日本企業が持っていた。近年そのスタンダードが次々に書き換えられている。もはや日本の製造業が世界のスタンダードだとは言いにくい状況になってしまった。従来のスタンダードの元でいくら努力しても無駄である。我々は次の時代の新しいスタンダードを構築する必要に迫られている。

 NPO法人横浜スタンダード推進協議会は、利益至上主義、拝金主義のグローバルスタンダードに対抗し、企業が人と地域を大切にする横浜ならではのスタンダードを構築する試みとして2006年に設立された。
 当時筆者は「横浜スタンダード」とはグローバルスタンダードの対極にあるものだと思っていたのだが、今その認識が甘かったことを痛感する。我々が目指すべきなのは従来のグローバルスタンダードの傍流ではない。従来のスタンダードを超える「新しいグローバルスタンダード」の構築なのである。横浜から世界へ、社会の、経済の、市民生活の新しいスタンダードを!志を新たにして挑み続けたい。