横須賀大千穐楽カーテンコール・レポート、4回目。

BOYSのご挨拶です。

 

「ここからは50公演やってない私たちが…」

フランキー/中川晃教さんの言葉に客席が笑い声に包まれた後、チームBlackの4人のご挨拶は、作品本編の春・夏・秋・冬の順に、ということで、春を担当するトミー・デヴィート役、藤岡さんから始まりました。

 

「本日はご観劇いただき、誠にありがとうございます。トミー・デヴィート役をやらせていただきました、藤岡正明です(拍手)」

 

  ご挨拶中の藤岡正明さん


「だいたいあの、カーテンコールで、すごくしんみりしてたりするとですね、何かこう "面白いことを言わなきゃいけないんじゃないか"って、いつも思うんですけど。今日はちょっと、真面目な話をしようかな。(お客さまからの拍手に)ありがとうございます。そうですよね。ホントにそのくらい、多分、真面目なカーテンコールしてないですけどね、いつも(笑)。

そうですね…(トミーを)演じてて、"ホントに柄が悪い"  "本物なんじゃないか" と。"そのまんまじゃないのか、藤岡は" ってなります。その度にカーテンコールで、"そんなことないです"って言ってきました。でも、よくよく自分の過去を思い出してみるとですね(客席笑)、ウチのオフクロ ー あ、そこに(と客席を指して)観に来てるんですけど(客席笑、拍手)ー ウチのオフクロに言わせると、"今週1週間、学校から呼び出しを喰らわなかったと思ったら、警察から呼び出された" と(本人笑、客席爆笑)。だいたいそんな生活をしてました(客席笑)。ホントに最悪だったな、と。

でも、その度ににウチの母が、"あんたは大丈夫。絶対、更生する" って(客席笑)。その頃だったかな、母が口癖で、"あんたは更生して、学校の先生になんなさい" って言うんですよ(客席笑)。"あんたは、グレたりとかどうしようもなくなったりとか道を外した子の道標になっていく、そういう大切な使命があるよ" と。今更、学校の先生にはなれないですけど、これだけたくさんのお客さまに来ていただいて、何か持って帰っていただけたのだとしたら、僕自身がグレていた意味もあったのかな、と(客席笑)、少し。まずは、うちの母に感謝したいと思います、諦めないでいてくれてありがとう」

場内は、お客さまからの、藤岡さんと藤岡さんと客席で見守っているお母様への温かい拍手で満ちました。

 

藤岡さんのご挨拶は続きます。

 

「そして、もう一人…感謝、伝えたいな、と思います。もちろんスタッフさんやキャストや、お客さま、みなさんには大感謝してるんですけども」

と神妙に語る藤岡さん。

「まあホントに、その…強さ…弱さ…逞しさ…もろさ…喜びも、悲しみも…共に…共感し、共有して…」

この間、中川さん、ボブ・ゴーディオ/東啓介さん、ニック・マッシ/大山真志さんの3人は、訥々と語る藤岡さんの周囲で、

「俺?」「いやいや違うでしょ」「君じゃない?」「え?」「俺?」「いや違うよ」「そっち?」「いや」「誰?」「そっち」「いやいや」

とセリフが聞こえてきそうなジェスチャーの応酬を繰り広げ、堪えきれなくなったお客さまからクスクスと笑い声が漏れてきます。

「…そして、僕自身が心から尊敬し…そして、心からの親友だと思っている人に、感謝したいな、と思います」

中川さんが意を決して「僕かな?」と自分を指差すと、客席、遂に爆笑。

 

 

藤岡さん、照れたのか、

「お前だよ!」

と中川さんの頬に手を伸ばしてしまいます。それに笑って応えてくれる中川さんを見ながら、

「彼がいなかったら多分、僕自身、心折れて、どっか行っちゃってるんじゃないかなって思います」

「帰って来てくれて、ありがとう」

と囁く中川さん。

「アッキー、ホントにありがとう! (そしてお客さまに向き直り)今日はご観劇、ありがとうございました!!!」

 

 

続いては、夏の担当、ボブ・ゴーディオ役の東さんです。

 

「ボブ・ゴーディオを演じさせていただきました、東啓介です、本日はまことにありがとうございました(拍手)。

いやーっ…終わっ…るんだなぁ、っていう」

ここで藤岡さん、間髪入れずに

「終わったんだよ!」

と突っ込んで、お客さまの笑いを引き出しますが、東さんはしれっと言葉を続け、

「終わってんだな、っていうのが不思議でならないですね。僕、最近やった舞台、だいたい"千穐楽"っていうのものがなくなってるんですよね。(楽日の)2日前だったりとか、緊急事態宣言だったりとか。だから今、ここで(公演を)終えられたっていうのが、何かちょっと意味がわからなくて(客席笑)。未だに、『Jersey Boys』(まだ)続くんじゃないかって感じてます」

 

  ご挨拶中の東啓介さん

 

「始まりがあれば終わりがあるんですけど、終わりが来ることがほんっとに "奇跡" だなって思ってて。ホントにみなさんがこうして来て下さるから、僕は舞台上に立て、こんな素敵な時間を過ごさせていただいています。

チームBlackでいられることを、僕は、ホントに誇りに思ってます。最高のチームです。またこの先も、僕が『Jersey Boys』を演り続けられたら…続けたい、と思っております。是非、みなさん、その際は来ていただきたいです!」

そして東さん、一際声高らかにお客さまに呼びかけます。

「生きていて下さい! 生きていれば、良いことが、必ずある! 楽しくいましょう! いろいろ、あります。SNSだったり、学校の何かがあったり…音楽聞いてみて下さい! 最高です。手を取り合ってみて下さい。何か生まれます。人と一緒に居れば、何か生まれるはず。生きていて下さい。ありがとうございました(拍手)」

 

この後、東さんの言葉を受けて中川さんが、

「手をとっていい? 何か生まれそうな気がする」

と、手を取り合う場面がありました。

(その時の写真が、コチラ↓ です)

 

 

3人目は、秋担当のニック・マッシ/大山さんです。

大山さん、元気いっぱいな大きな声で、

「ニック・マッシの大山真志ですっ!(拍手)

皆さん、『Jersey Boys』、大好きですか?(拍手)」

とご挨拶を始めます。

 

「いや、実はね、僕たち、そして、スタッフのみなさんも、『Jersey Boys』のことが好きなんです!

この作品を演ってて…えーっと、僕たち(WキャストであるBOYS)は25回ですが、(2022年は合計で)50公演やっていて、(その中で)一度たりとも、おそらく、同じ公演はなかったと思うんです。毎回同じセリフだし、毎回同じ歌を歌ってるはずなのに…毎回ベストを尽くして、慣れず、毎回毎回高みを目指している、(そんな)チームだったな、とホントに思うんです。僕は、すごい誇らしくもあって、演っててホントに楽しかったです。

こうして拍手して下さってるみなさま、ホントに、みなさんに届いてたら嬉しいな、と思いながら毎日毎日頑張って来ました。今日こうやって、僕たちがここに立ててるのは、みなさんのパワーがあったからこそ、拍手があったからこそ、笑顔があったからこそ、と思います。ホントに感謝しています。

そして、この『Jersey Boys』、このフォー・シーズンズの4人のメンバーは、別の現場でご一緒させていただいたことがあるメンバーだったんですけど、その時は、まあ、何だろうな…先輩、だったり、とか…」

ここで藤岡さん、

「オマエ、俺のこと嫌いなのか?!」

と突如ツッコみ、客席が爆笑となりました。大山さん、半分笑いながら、

「一言も言ったことないですよ! 言ってないですよ、そんなこと!」

と返し、話を続けます。

 

  チームBlackについて触れる大山さん

 

「(別現場では)どこか…先輩後輩だったり、したんですけど、(この『Jersey Boys』はその時と違って)チームとして、フォー・シーズンズとして、先輩後輩関係なくこのチームを作れたことが、ホントに心から嬉しくて。(BOYSに)ありがとうございます。そしてこの、カンパニーのメンバーも、毎回もう "すげぇな" って。あんなに大変なことして、あれだけ着替えてて、あんな汗かいてるのに、ね。嫌な顔ひとつせずパッて出ていく(客席笑)。そのカッコ良さたるや!と思いながら、毎回見てました。

そして、チームGreenのメンバーも…ホントに、何だろうな…全く違うチームだったじゃないですか。全く違うカラーを作って、お互いに、作ったものにプライドを持って、ちゃんと演りきれたことが、ホントに素敵なことだなぁと思います。GreenもBlackも観て下さった方なら解ると思いますけど、ホントに、向こうのチームも最高でした。

僕たちも、こうやって終えられることを幸せに思います。また、ニック・マッシとして戻って来れたら良いなっ!!(大きな拍手) ホントに幸せに思います。ありがとうございました!(拍手)」


  大山さんのお腹を触る藤岡さん

 

 

そしてBOYS最後を締めくくるのは、冬のフランキー、中川さん。

藤岡さんが中川さんのお名前をコールして、ご挨拶が始まります。

 

  中川さんのご挨拶の模様

 

「(キャストの)みなさんからのバトンをですね、こう、何か、受け取っているような感覚になるんでけすけども。あぁ、一つの気持ちで舞台に立ち、そしてこの作品を生ききって、今迎えることが出来ている ー この瞬間に沸き起こるものは、感謝、感動、やってきて良かった、っていう思いです。そういうものを一人ではなくって、今この瞬間をみなさんと共に感じることが出来ているんだなぁ、と。みなさんも口々に、"ありがとうございました" という言葉を伝えて下さっている ー その言葉に僕自身、ホントに共感しながら、こうやって、さっきトンちゃん(=東さん)が言ったように、一人じゃなくって、誰かと一緒に手を携えあえば、そこから生まれてくる何かがあるよね、っていう ー そういう気持ちをホントに味合う…味合うというか、今、実感、出来てます。

さっき、綿引さんも言ってましたね。ホントに "家族" っていう言葉が、私たちを指し示してくれるようで。またこの作品と縁があって、"家族ってどういうものだろう" って僕自身も考えるきっかけが、今回のこの再々演でした。

2016年の初演から数えると、あっという間だったんですけれども、やっぱり僕にとっては何よりも、フランキー・ヴァリ役、もう一人の花村想太さんが、あのボブ・ゴーディオさんの、OKをもらって(と、ここで東さん、手を上げて「僕ですよー」とジェスチャー。これに客席反応してザワッと笑いが起きます)」

 

  中川さんの「あのボブ・ゴーディオさんの…」のくだりで、

  ピースサインの"ボブ・ゴーディオ"役、東さん(笑)

 

中川「ね、もう、湖の上で」

東 「やってますから」

中川「良いですか?」

東「やっちゃおう!」

 

客席またも笑いの渦…。そして中川さんのご挨拶は続きます。

 

「僕たちは真剣にデモテープ送ってですね(客席クスクス)、想太さんは見事合格したわけですよね。なので、先ほど言いましたが、50公演、本当に皆様の気持ち、あぁ、2018年を、ちょっと思い出しながらですね、あっ、なんかこの、今年の時間、初めて感じてる何か ー そういうものを感じながら、こうやって…でもあの、一人ではなく、フランキー・ヴァリが二人になったからこそ今思っているこの初めての感覚なのかな、というふうに思っています。それをですね、一言に凝縮するならば ー」

と、しばし言葉を止める中川さん。沈黙が続いて客席がざわつき出した頃、

「…一言は無理かもしれないです(客席爆笑)」

藤岡さん、思わず、

「それさぁ! 一言に凝縮するんなら、だから、クライマックスだから、それ考えて来てるワケじゃないですか、みんな!」

「はい、はい」

「何も考えてないのに出ちゃったんでしょ。一言にしてみようかぁ、って思っちゃったんでしょ? 一言だよ!」

「はい、わかりました」確かな絆のある二人だからこその、このコントのようなやり取りに、お客さま、笑いが止まりません。

 

最後に藤岡さんに、

「一言だよ!」

と強く言われ、中川さんはしばしの間の後、

 ♪愛し〜て〜る〜

と歌い出し、客席拍手喝采。

歌いながらじっと見つめられて、藤岡さんもその歌に加わります。

 ♪あ〜いし〜て〜る〜

二人の即興のハーモニーが生み出されます。

これに巻き込まれてはたまらん!と、早々に舞台の上下や奥へと逃げていくキャストたち。

 

  即興で振られるのを恐れ、逃げていくキャストたち

 

逃げられない東さん・大山さんは、ハーモニーの輪に強制参加、となります。

 

  BOYS4人のハーモニー、どうなるの?と見守るキャスト

 

自由奔放に歌う中川さん、藤岡さん、合わせようと必死に二人を見て聴く大山さん。ところが東さん、ここで歌って〜と目で合図され、声で誘われても、どうするのこれ?状態で、ついには、

「わからない、どういうのですか?」

とボヤきが入ります。

が、最後はさすがに"チーム"です。4人が、一人ずつ音を合わせていき、

 ♪愛し〜て〜る〜

の素敵な四声が場内を満たしました。

 

特別カーテンコールの最後、中川さんの

「ありがとうございました〜!!!」

の声を合図に、手を振りながら袖へとハケていくキャストたち。

 

舞台上に残ったBOYS4人は、恒例の、中川さんによる

「トミー・デヴィート、藤岡正明! ボブ・ゴーディオ、東啓介! ニック・マッシ、大山真志」

のコールの後、これまた恒例の、藤岡さんの、

「フランキー・ヴァリ! 中川晃教!」

コール。

ここで手を振って、4人で去っていくのがいつもの定番ですが、この日は大千穐楽。

なんと、いつもの大山さんが最後にハケる際にやる「にっく・まっし!」のネタを、

「せーの」

で4人でポーズを決める、という…笑いで湧く中でのカーテンコールの締めくくりとなったのでした。

 

  4人で「にっく・まっし」ポーズでシメ!(笑)

 

 

カーテンコール後の写真は、次回に続く!

もう1回だけ、お付き合いくださいませー。