76. Blue Note 1577 | BACKUP 2024

BACKUP 2024

備忘録

 

 

 

ブルーノートにおけるジョン・コルトレーン唯一のリーダー作である。
この時コルトレーンはプレステッジの専属ミュージシャンだった。
そればかりではない。
ケニー・ドリューもリバーサイドの専属であった。
このため、本作にはプレステッジとリバーサイドの名前がクレジットされている。
ライバルだったジャズ三大レーベルの協力態勢で作られたのが本作である。
私はコルトレーン作品の中で一番好きだ。
中でもタイトル曲が好きで、「62」でうっかり書き忘れたが、ハードバップを代表する名曲の一つだと思っている。

サックスという楽器は、リードという乾燥した葦を薄くスライスした物を息で振動させ、それを管で増幅して音を出している。
プレーヤーは演奏前にリードを舐めて湿らせてから、サックスのマウスピースに装着する。ジャケット写真はその瞬間を撮ったものと、私は長い間思い込んでいた。
しかし、最近になってコルトレーンはキャンディーを舐めているのだと聞いた。
良く見ればリードは既に取り付けられているし、指の間にキャンディーのスティックのような物も写っている。
コルトレーンが子供のようにキャンディーを舐めている。
ほほえましい、しかしちょっと不釣り合いなシーンである。

コルトレーンはアルフレッド・ライオンに借金があり、それで本作を録音したとの話もあるが、もし続けてブルーノートに作品を残していれば、きっと多くの名作が生まれていたのではないか。そんな気がする。
せめてプレステッジの後、アトランティックやインパルスへ行く前に、ブルーノートで録音する事はできなかったのだろうか。それが少し残念だ。