「おれたちが神を殺したのだ お前たちとおれがだ!
 おれたちはみな神の殺害者なのだ!」

ニーチェの描いたひとつの姿が、
実に大きな影響を与えてしまった。

妄想のような、
幻覚のような、
しかしまた、
人が密かに心に抱いていたかもしれないような、
そんな叫び。

できるなら、
神なしで済ませたかった。
人は、そう考えていたのかもしれない。

よく「神は死んだ」と言われる。
すると日本人としては、
もう神はいない、と考えがちである。

だが、
神は死んだのではない。

私たちが――私が――殺したのだ。
いや、殺した、と思っているのであり、
自分の心の中で
殺したつもりでいるということだ。

いないものと見なしている、と。

戦争で傷ついている子どもたちがいること、
一杯の水が得られなくて死にそうな人がいること。
そんなことを、どこかで気づいていながら、
いないものと見なしているのと同じように。