政府が悪い。
法律が悪い」

こう叫ばせておくのも、
政治の手法であろう。

そこそこ吐き出させておけば、
逆に納得もしてしまいがちである。
言いたいことはある程度言わせておいたほうがよい。

言ったことが実現しなくても、
自分は言いたいことは言った、という事実を以て、
人はいくらかでも納得をするものなのだ。

政府にとり、脅威的なものがあるとすれば、
政治が悪いという考えをもつ人々がすべて、
「選んだ自分が悪かったのだ」と自省するときであろう。

配偶者に文句をぶつけても、
開き直られるのが関の山である。
つまり、不実な者の優勢は崩れない。
あんたを選んだ自分がバカだった、という言葉は、
不実な者を主役の座から引きずり降ろす。

もはや、為政者には文句を言わない。
ただ、選んだ自分に文句を言う。
民衆がこのように矛先を変えたとき、
次の投票でどうなるかは自明である。

これが、民主主義の為政者にとり最も怖い。

そして、これこそが、
民主主義に必要な前提なのであった。

これがない「民主主義」は、
プラトンが軽蔑したごとく、
愚衆政治となることも尤もである。