朝日新聞のサイトで、
作家の平野啓一郎氏が、
母子家庭について語っていた。

シングルマザーなどと言われると、
少し洒落て聞こえもするが、
そこには従来からある「貧困」が関わってくる。

貧困とは何か。
今日明日の食べ物にも困るというイメージもあるが、
最近は、
スマホに何万円も支払いつつ、
子どもの学費を払えないと言う貧困もあるようだ。
会社に行くときにだけ発症する鬱病であるとか、
なんとかならないだろうかと思う事例もあるが、
さしあたりここでは、
社会的な差別感覚に基づく図式に注目したい。

近隣との関わりがなくなり、
頼れる人もいなくなり、
公私に拘わらず相談できる相手がいなくなることで、
孤立するなどの状況が、
また貧困家庭を追い詰めていく。

平野啓一郎さんは、自分がその母子家庭であり、
祖父母に育てられた経験をもつという。
貧困状態にはなかったが、
ひとつ違えばそうなっていたという想像力が
作家として働いたときに、鋭い感性をもって
問題点を見出していく。

私がこの人の感覚をさすがだと思ったのは、
このように語っているからだ。
「労働人口が減ってきたから
 女性を「活用」して働いてもらう
 というのも失礼だと思う」

「活用」という言葉で
なんだか思いやったことをしているかのような政治に、
釘を刺している。
ある意味でそれはごまかしであり、
実のところ当事者を苦しめ
周囲の者を安心させているテクニックなのだ。

「活用されたくないですよ、誰も」

そう結ぶこのインタビュー、
ことばを操る人の、健全な感覚である。

これを失礼だと感じないところに、
うまく政治に操られている罠がある。