スクルージの話、「クリスマス・キャロル」は
このクリスマスの時季に読まれ、
また語られる、定番の本である。
 
名作であるが故に、子どもたちは、
しばしばアニメやマンガでそれを知る。
知ることが悪いとは思わないが、
それで本を読まない場合も多々ある。
もちろん、アニメから本に興味をもつ子もいる。
 
文学作品は大切な役割を果たす。
私たちは、人生で
「もしこうだったら」「こんなことをしたら」
というような想像をよくする。
しかし、それはえてして、
やってはいけないとされていることである。
 
だから躊躇するのが普通であるし、
実際たいていはそうである。
凶悪犯といえども、
日常でゆきあたりばったり
人を殺しているわけではない。
 
文学作品は、
いわばそういう想像や空想を
かなり進めてくれる虚構である。
文学の中で、私たちは模擬体験をする。
それが、ひとつのカタルシスにもなるし、
一つの好奇心を満たす働きをももつ。
 
つまり、文学体験がないということは、
人間の心に生じた残虐な空想を
実際に試す機会を生み出すということである。
 
(続く)