偽装は常にあるだろう。
いつぞや話題に上った建築の偽装は、
重大な危険と手間とをもたらした。
 
今度は、ホテルの料理である。
しかも、名門というか、
一流の名前を冠するところだっただけに、
裏切り感は大きかった。
 
おまえもか、と。
 
信頼を裏切るというのは、
重大な悪である。
カントはこれを極端に嫌った。
凶悪人物に、友を匿ったことを
正直に知らせることにすら吝かではなかった。
これはさすがに悪評を呼んだが。
 
しかし嘘をつくということは、
あらゆる契約や道徳ならびに善意を
灰燼に帰する作用だから、と
カントは道徳の原則を曲げなかった。
意図や主旨をここでは重んじたい。
 
自分だけが得をすればよい。
その考えが重なれば
世の中はうまくいく、という思想もあった。
だが、それはむしろ互いに不幸にする行為となった。
 
それはそうと、
返金に応じるという阪急阪神ホテルズ。
名前を汚すどころの問題ではないが、
実質返金は困難でもあろう。
そもそも、返金さえすればよいというのであれば、
万引きしたところを捕まった若者が、
返せばいいんだろ、と構えるのと何ら変わらない。
 
(続く)