「法治国家だから」
この理屈は確かに正しい。
 
観察したいのは、その「正しい」理屈を
誰が使うか、という点だ。
 
「事故だと思って諦めるしかない」
などと被害者を慰める言葉があるとしても、
その言葉をかけたのが加害者だったらどうか。
 
命題だけを聞くと、「正しい」ことも、
誰が誰に言うかによっては、
そのこと自体が……

「法を守れ」と強く言うのは、
その法が都合の良い者の言い分であって、
同じ者が、都合の悪い法については、
「法がすべてではない」などと言い始めるのは
実は火を見るより明らかだ。
「法を改正すべきだ」と言い始めるわけだ。
 
「法」を自分のために利用していることになる。
 
その法を守ると都合が悪い立場の人が、
「法治国家なのだから」という理由を口にする、
それが本来の使い方だ。
 
言葉は一人歩きをする。
そして、誰が使うか、という状況が
検証されなくなっていく。
問題の多くは、そこにある。