公営プールがあるが、
夏休みは大賑わいだ。
我が息子、泳ぎの練習がしたい。
それで連れて行くことになる。
ところが、水遊びをする子どもたちで溢れたプール、
泳ぎの練習などするスペースがない。
泳げる場所は深くて入れない。
――ここは泳ぎの練習ができませんね。
そういうレーンが一つくらい作れないもんですかね。
出口で何気なく相談したら、
奥から若い男性スタッフが出てきた。
どういう立場か知れない。
アルバイトではなさそうだが、えらく若い。
やりとりを記すつもりはない。
私は、去年あるスタッフにこのように注意された、と言った。
すると、彼の目が光った。
「そんなことを、スタッフが言うはずがありません」
はずがなかろうが、私と息子は去年そう言われたのだ。
丁寧にそのことを告げるが、頑として受けつけない。
「言うはずがない」
それは分かった。でも事実としてそう説明されたのです。
しかし、私の言葉を寸分も受けつけない彼は、
「どういう状況で、どのように言ったのですか」と詰め寄る。
失礼な奴だと思いながらも、私は丁寧に状況を説明した。
しかし、「ありえない」と言う。
一年前の夏の出来事である。
しばらく、根ほり葉ほり状況説明を彼は求めたが、
私は事実しか言えないから、寸分のブレもなく、
ただ同じことを繰り返すことしかできない。
何も賠償金をとろうとしているわけではない。
泳ぎの練習ができないプールというのは、
そもそも何かおかしくはないでしょうか、と
問題提起をしたかっただけなのだ。
なんくせを付けられたと思ったのだろうか。
彼は表面上は敬語を使いつつも、
腹が立ち始めているのが露骨に伝わってきた。
(続く)