ホークスの主力選手が流出する。
これだけ勝ってなお出ていく、
そこに何か球団経営の問題も見えてくるが、
うち2人はアメリカが相手だから、
必ずしも球団のせいだとは言えない。
 
そのうちの1人、川﨑選手が、
イチロー選手と一緒にやりたい、と発表した。
本場アメリカでやりたい、という憧れを持つ選手は
野茂選手以来それを表に出せるようになってきた。
しかも、年俸が下がろうと、
憧れにまさるものはないという態度だった。
 
しかし、川﨑選手のように、
特定の選手と一緒にしないならば
アメリカには行かない、とまで言うのは珍しい。
たとえマイナーでもいい、
イチロー選手のいるチームにしか属さないのだ、と。
 
打撃だけ左だということのほか、
野球のスタイルも似ていないことはない。
たぶんイチロー選手を真似して、というのがあるだろう。
しかし自分もひとかどの成績を残すようになり、
冬に日本に帰ったイチロー選手と
一緒にトレーニングができる間柄となった。
イチロー選手は、彼にとってまさに師匠である。
 
時に、叱咤を受けた。
あのヘッドスライディングは美しくない、と
師匠に酷評され、凹むこともあった。
だが、日本を代表するような選手の1人となっても、
あのイチローさんと一緒に、と
彼は目をキラキラ輝かせて語った。
 
まさに、野球少年の顔だった。
 
こういう思いを正面からぶつけて
仕事ができる、というのは
うらやましい、と思った。
きっと、同感の方も多いことだろう。
 
「野球小僧」という言葉も似合わない。
やっぱり「野球少年」だ。
ホークスの街にいる者の一人としてうれしかったのは、
もしイチロー選手と同じチームに入れないのだったら、
日本で野球をやる、その時はホークスしか考えられない、
そう言ったことだ。
 
この、何か純粋な野球少年の夢は、
叶えさせてやりたい、と
きっとファンも納得なのだろうと思う。
応援とは、そういうことなのだろう。
金でも、意地でもなく、
真っ直ぐな夢であるのだから。