ドイツの世界遺産の「ヴィース教会」について、
日本人団体観光客に対して
ドイツ観光局より文書が出されているという。
 
ヴィース教会訪問に関してのお願い
 教会は「神の家」であり「祈りの場」です。
 教会の好意で観光客に無料で開放してはおりますが、ここに祈りに来る方々の邪魔にならないよう静寂を厳守してください。
 写真のフラッシュもおひかえください。
 できるだけ教会の用意した案内ツアーにご参加ください。これは単なるガイドツアーではなく、礼儀をわきまえて見ていただくためのものです。
 毎週水・土・日曜のミサの時間と教会行事が行われている間のご訪問は、お断りする場合があります。
 神を敬う気持ちをお忘れにならないように。
 

ヴィース教会は
南部バイエルン州フュッセンの北東にある。
壮麗なロココ芸術の極みとでも言うべきか、
その内装には圧倒されるものがある。
外装の静けさとは裏腹に、
内面は宝石のような輝きがある。
 
ひどく都市から離れたところにあるが、
もともとドイツには大都市が少なく、
人々は小規模の町を好む。
だからここも、ごく普通の生活の場でもあるのだろう。
 
それにしても観光局の文書の語調はきつい。
日本人が、神を敬う気持ちを忘れている、という意味である。
規則を重んじる国民性ではあるだろうが、
ここまで言わせるほどのことも
実際にしているのは間違いないだろう。
 
京都の社寺の観光もまた、
雑踏と喧噪のないところはない。
その延長で
教会堂に足を踏み込んでいることは
容易に想像できる。
 
教会という場所がどう、というよりもたぶん、
かけがえのない芸術としても
そうした態度はやはりまずいものであろう。
その意味では、
信仰の場として建築した当初の人々の苦労は
報われていないのかもしれない。
芸術品として知られすぎてしまったのだ。
 
教会なるものはもちろん建物のことではないが、
教会堂は信仰の故にまたつくられ、守られてきた。
日本国内では道徳的に振る舞う誇り高い日本人が、
旅の恥はかき捨てとばかりに奔放になり、
当地の人の心を踏みにじるようなことは
やはりしてはいけないことだろう。
まさか、金さえ払えば何をしてもよい、と
時代錯誤をいまだにしているとは思えないのだけれども。