運転していると、
とにかくまわりには注意を払い続けているから、
いろいろな情景を見る。
 
道路に面した店舗の駐車場から、
車が出ようとする。
基本的に走行車は通過してよいが、
バランスや状況で、
停止してその車を出してやることがある。
 
そこは片側一車線。
ある携帯電話の代理店であった。
いわゆるお客様のお帰りである。
若い女子店員が二人もお見送りであった。
店を出て行くその車に、きちんと礼をしていた。
いや、「きちんと」かな? と私はその店員たちに、
何か仕方なしに仕事だからしなきゃ、という空気を読んだ。
いや、それは私の勝手な思いこみであるかもしれない。
 
またしばらく走る。
するとまた、店から道路に出ようとする車があった。
そこも片側一車線。
こちらは名前を出してもよいだろう。
エイブルという不動産関係。
ひとりの若い男性店員がお見送りだった。
 
出て行こうとする車にも深く一礼。
しかし、間髪を置かず彼は、
停止したこちらや対向車線で徐行した車に、
それぞれ最敬礼をしたのである。
 
実のところ、当たり前である。
私も塾でたとえば生徒を見送るとすると、
横断歩道で停止した車に対して彼と同様にする。
信号で止まった車にさえも、する。
今から子どもたちが一斉に通る。
もたもたする子どもがいるかもしれないし、
とにかく深々と礼をするべきだ。
 
このように、私は当たり前だと思っているから、
エイブルの彼が殊更に立派なことをしたとは考えないが、
しかし、当たり前のことをきっちり行うのは、やはり気持ちがいい。
 
客を大切にするということは、
その客を大切に扱ってくれた別の人に対しても、
いわば間接的な客として、感謝の気持ちをもつことだ。
それが、その本当の客をも本当に大切に扱うことになる。
 
顧客の満足を成果として目ざすということは、
たとえばそういうことでなければならない。
それが、ビジネスの心である。
もちろん、非営利組織であってもよい。
 
エイブルの彼に、
心からエールを送ろう。