傘をすぼめた女性に出会った後、
私は電車に乗った。
 
電車に立って乗る場合、
ドア付近では、外側を向くのがルールである。
つまり、そのまま外に出る態勢でいるべきである。
エレベータがそうであるように。
 
実際のところ、
電車のドアを背もたれのようにして立つ人は多い。
ルールがどうとか、
多くの人がそのように乗ると中央付近で矛盾が生じるとか、
そんなことを考えるようなことはないらしい。
正しく外側を向く人とお見合い状態になって
うざいなあという感じで視線を逸らす人もいるが、
構わず音楽に集中している場合もある。
 
さて、この朝も、私は見た。
ドアに背を向け、内側の人々と向かい合うようになった、
女子高校生。
ケータイを熱心にいじっている。
やがてそれが済むと、
iPodkのような、音楽プレイヤーをいじる。
 
マナー云々とは無関係に、私は考えていた。
いったいいつから、
高校生がこんな高価なモノを
フツーに所有するようになったのだろうか。
 
小中学生でさえ、
持っている場合があるのだから、
大学生になっても家にしばらく固定電話すら引けなかった私などとは、
モノの価値観が完全に異なるのは、当然だと思うのだ。
 
大学のときには、一日の食費が400円であった。
もちろん自炊であるが、
牛乳や卵、パンなどは
明らかに現在のほうが安い。
 
(続く)