この題の絵本がある。
こんのひとみ・作 いもとようこ・絵
金の星社から、2004年に初版が出ている。
 
いつも「おはよう!」と
大きな声で迎えてくれる、くまこうちょうせんせい。
でも、ひつじくんは、小さな声。
勇気を出せばいつか大きな声がでるよ、と
校長先生は励ましました。
 
でも、ひつじくんの家には、悲しい事情がありました。
大きな声が、怖かったのです。
 
校長先生が、入院しました。声が出せなくなりました。
子どもたちの励ましのおたよりに、
校長先生は、病院から学校に行くことを願いました。
 
でも大きな声は出せません。
ひさじくんは、痩せた先生に何も言えません。
校長先生は、放課後ひつじくんを追いかけて、
大きな声を出そうと思っても出せないことがある、と
ひつじくんの気持ちが分かったことを告げて謝りました。
 
そのとき校長先生が倒れました。
ひつじくんは、夢中で、大きな声で叫びました。
「たすけてー!」
 
その声が届き、校長先生は病院へ。
大事に至らずに済みました。
 
校長先生の小さな声を、
ひつじくんが大きな声で伝えるようになりました。
 
珍しい絵本だった。
絵本として、果たしてこれでよいのか、という思いも混じったが、
大人の心には、伝わるものがあった。
 
予感したとおり、これは実話に基づくもので、
実際は校長先生は余命を宣告され、
亡くなったのであった。
絵本にはこれまた珍しい「あとがき」に記されていた。
 
子どもたちは元気でなければならない、と
大人が思い込んでいる点を、
この校長先生は実際に病を通じて悟ったのだという。
 
今日もテレビの子ども番組では、
体調が悪いかもしれず、また失恋でむしゃくしゃしているかもしれない
お兄さんとお姉さんが、
「みんな、げんきー? おにいさんも、おねえさんも、げんきー!」
と叫んで番組が始まる。
 
私は、キリストはそんなことを言わなかったことを知っている。
弱い人間の、痛みを分かち合うようなことはしたけれども、
元気が一番だ、と、
まるで元気でない人は価値がないような言い方は、しなかった。
 
子どもはこの絵本をどう感じるか、私には分からない。
でも大人は、確実に感じるものがあるだろうと思う。