正直者が損をする。
そんな世の中はダメだ、と思っていた。
まだ十代の頃は、そんなふうに考えていた。
だが、それはある意味で
世の中の正常なあり方であるようにも思えてきた。
年金も、損をする人々が正直に納めている。
納めないほうが利口かもしれない。
結婚や出産も、損を承知でやっているのかもしれない。
国が懸念している問題は、
ひょっとしたら、損を承知で立ち向かう人々に支えられているのかもしれない。
だとすれば、
「得をしますよ」という誘い水で
少子化問題を解決しようと考えることは、
根本的に、間違っているのかもしれない。
人間を、
わずかな餌で簡単に釣れると高をくくっている為政者に対して、
そんなさもしい者ではなく、
けっこう強かなのだ、と
庶民も自己主張している部分があっていい。
人によって何が「損」であるのか、
そもそも「損」とは何なのか、
如何様にも違ってくるものなのだ。