1998年7月25日、それは起こった。
和歌山の毒物カレー事件に、
最高裁判決が下された。
林眞須美被告に、
死刑が確定した。
重い判決であり、
状況証拠のみと動機不明という困難を越えて
上告を棄却して二審の大阪高裁判決の確定が決まった。
すぐに再審請求をするというから、
執行は直ちには行われない公算となる。
来月開始の、裁判員制度への影響や関連も
取り沙汰されている。尤もなことだ。
しかし、遺族は悲しみをさらに深くさせる。
どうして家族が――一家の柱を、子どもを――
殺されなければならなかったのか、理由すら隠されているからである。
当初から、マスコミが大いに騒いでいた。
「疑惑」などと言って取材を激しくし、
抵抗する被告の姿がしっかり映像で捉えられた。
まさに、マスコミの喜ぶ反応であったことだろう。
被告は、犯行を否定している。
だから、とやかく第三者が言うべきではないだろう。
私はかつて、被告とその子どもたちとの書簡を集めた本を読み、
それに対する感想を書いた。
そのとき、冤罪であったと仮定してそれを読んだとき、
どうしてもひっかかる点があると考えていたのである。
同様のことをした過去があることも、
今回の最高裁の判断に影響を与えている。
しかしまた、心理的に考えて、
保険金詐欺という、「嘘」を重ねてきていたことは、
法律的な慣習などにも勝り、厳しい結果を招くことになったのではないか。
狼が来たぞと繰り返した少年は、ついに信用されなくなった。
詐欺を繰り返していた被告は、法廷でも信用されることがなくなった。
劇場的な性格が見え、
嘘も真実として思い込んでいく、あるいは
嘘を言っても嘘だという自覚が薄い、
そんな人を私は知っている。
この被告にも、近いものを感じる。
自分の論理だけで万事がうまくゆくと考えずに、
まず信用されることを目指していたら、よかったのかもしれない。
あの事件の後、
救急対応のまずさに悔しさを感じた女生徒がいたことを記憶している。
それで、そうした中毒に正しい対応ができるように、
勉強をするという意志をもって歩み始めたのだったと思う。
その後、どうしているだろうか。
彼岸花は、「悲しい思い出」という花言葉があるそうだ。
犠牲者の一人、小学生だった男の子の母親は、
その中に息子を見るような思いがつのり、
『彼岸花』という本を出版していた。
もう一度会いたい。
その願いは、
最高裁小法廷の5人が、一致して死刑を是認した後にも、
叶えられるのかどうか、分からない。
和歌山の毒物カレー事件に、
最高裁判決が下された。
林眞須美被告に、
死刑が確定した。
重い判決であり、
状況証拠のみと動機不明という困難を越えて
上告を棄却して二審の大阪高裁判決の確定が決まった。
すぐに再審請求をするというから、
執行は直ちには行われない公算となる。
来月開始の、裁判員制度への影響や関連も
取り沙汰されている。尤もなことだ。
しかし、遺族は悲しみをさらに深くさせる。
どうして家族が――一家の柱を、子どもを――
殺されなければならなかったのか、理由すら隠されているからである。
当初から、マスコミが大いに騒いでいた。
「疑惑」などと言って取材を激しくし、
抵抗する被告の姿がしっかり映像で捉えられた。
まさに、マスコミの喜ぶ反応であったことだろう。
被告は、犯行を否定している。
だから、とやかく第三者が言うべきではないだろう。
私はかつて、被告とその子どもたちとの書簡を集めた本を読み、
それに対する感想を書いた。
そのとき、冤罪であったと仮定してそれを読んだとき、
どうしてもひっかかる点があると考えていたのである。
同様のことをした過去があることも、
今回の最高裁の判断に影響を与えている。
しかしまた、心理的に考えて、
保険金詐欺という、「嘘」を重ねてきていたことは、
法律的な慣習などにも勝り、厳しい結果を招くことになったのではないか。
狼が来たぞと繰り返した少年は、ついに信用されなくなった。
詐欺を繰り返していた被告は、法廷でも信用されることがなくなった。
劇場的な性格が見え、
嘘も真実として思い込んでいく、あるいは
嘘を言っても嘘だという自覚が薄い、
そんな人を私は知っている。
この被告にも、近いものを感じる。
自分の論理だけで万事がうまくゆくと考えずに、
まず信用されることを目指していたら、よかったのかもしれない。
あの事件の後、
救急対応のまずさに悔しさを感じた女生徒がいたことを記憶している。
それで、そうした中毒に正しい対応ができるように、
勉強をするという意志をもって歩み始めたのだったと思う。
その後、どうしているだろうか。
彼岸花は、「悲しい思い出」という花言葉があるそうだ。
犠牲者の一人、小学生だった男の子の母親は、
その中に息子を見るような思いがつのり、
『彼岸花』という本を出版していた。
もう一度会いたい。
その願いは、
最高裁小法廷の5人が、一致して死刑を是認した後にも、
叶えられるのかどうか、分からない。