コーヒーを煎れる。
サイフォンに凝ったこともあったが、
結局美味しいのはドリップ式だ。
とはいえ、ペーパーフィルターに徹しているから
あまり本格的とは言えないかもしれない。
 
豆の新鮮さ、粋な具合が、
湯を垂らすときに分かる。
泡のドームができるのはもちろんだが、
新鮮な豆は、
ジュジュゥゥゥと音を立てる。
 
この音、
近くでテレビやラジオを大きくかけていると、聞こえない。
コーヒー豆の息吹をかき消す音があると、
聞き逃してしまう。
 
何か大切なことを
懸命に訴えても、
ひどく小さな声にしかならない。
それはよくあることだ。
 
私たちは、世の喧噪を当たり前だとして、
その小さな声を聞き逃していないだろうか。
かき消してしまうものに
いつしか心奪われて、
そいつの言いなりになってしまっていないだろうか。