あまり聞かれなくなったように感じる言葉。
「むしばむ」

からだがむしばまれていくという病の恐怖も
昔に比べれば減った点がある。
実は、気がつかないところで人間のからだは、
どんどんむしばまれているように私は感じているのであるが。

「むしばむ」とは、
内部でじわじわと食べられて損なわれていく様子を示す言葉である。

漢字では「蝕む」と書く。
今は日食とか月食とか書くのも、本来は日蝕であり月蝕なのである。
また、ときに「虫喰む」とも書く。
前者も結局、虫が食べる、と書いている。

虫に食われていくことが、「むしばまれる」という意味なのだ。
まさに、虫がいてこそ、むしばむのである。

比喩的にだが、
人の心や精神が、内部からゆっくり壊されていくさまを、
やはり「むしばむ」という言葉で表現することがある。

建物が、シロアリにやられるというのもつらい。
それで今つらい方もいらっしゃるだろうし、
困り果てているならば申し訳ない。
不適切な喩えであることを承知で使わせてもらうのだが、
ある組織のリーダーたちの心がおかしくなっていったとき、
その建物がシロアリに侵されていた。
私には、ひとつの象徴のように見えて仕方がなかった。