知人の誕生日は覚えていても、
知人のお子さんの誕生日は、
なかなか覚えられない。

そもそも、人の誕生日だなんて気にしない人もいるし、
そもそも誕生日だなんて意味がないよ、と言う人もいる。
母親にとっては、
胎内にやどったとき、すでに子は誕生している。

「こんにちは、赤ちゃん」と
赤ちゃんの顔を見て口にするのは、母親ではなく、父親である。
だからこの歌の歌詞を作ったのは男だね、と見破られた。
永六輔さんが明かしていたエピソードである。

昔の恋人の誕生日が、忘れられない、
そんなことはないだろうか。

数多くの異性を恋人として経験した人は、
とても覚えてなどいられないかもしれない。
また、自分は好かれる一方で、
自分から好きになる必要もなかった、という人も、
いちいち相手の誕生日など、覚えてなどいないかもしれない。

だが私は、いつも自分の側からの気持ちを大切にしていた。
だから、なのかどうか分からないが、
好きだった女性の誕生日は、殆ど覚えている。

この日もまた、そうだ。
胸がキュンとなる、というと、嘘かもしれない。
だが、あのころのことを、
ほんの少しでも、思い出す。

今、どうしているだろうか、と
思わないこともないが、
会いたいという気持ちは封じなければならない。
思い出を美しくしたいため、だろうか。
自分では、そのあたり、よく分からない。