魏巍(ぎぎ)被告に、二審も死刑が言い渡された。
福岡高裁の判決である。

2003年6月、台風の荒れる夜だったと思うが、
その闇の中で、両親と二人の子どもが殺された。
いわゆる「福岡一家4人殺害」事件である。
そうまでして奪った現金は、37000円であったという。

殺害された長男は、中学受験を目指して勉強中だった。
六年生の6月。だんだん本気になる頃である。
四年生で塾に入ってきたK君は、
最初はええとこのぼんぼんという感じで、
授業中も真剣味がなかった。
それが、高いレベルのクラスに上がるにつれ、
力をあらわすようになっていった。

報道で用いられる家族写真は、だいぶ前の写真である。
六年生になってとくに、K君は、
背も伸びて、顔ににきびではないがそうしたものがちらつくようになっていた。
それでも、人懐っこい笑顔は、
教師たちの言うことをよくきく、素直さに包まれていた。
ちょっと、笑顔の松坂大輔投手のような雰囲気を想像して戴ければ、近いものがある。

授業が終わって、職員室は重たい空気に包まれていた。
ネットでニュースが飛び込んできたのだ。

嘘やろう。
だって、一昨日も来てたやん……。

マスメディアの報道では決して語られないような、
惨い有様であったとも聞く。

今、命があって、
勉強するチャンスがあるという人は、
そのチャンスを活かしてほしい。

加害者の命を差し出したとしても、
K君の命はここに戻ってはこない。
彼だったら、福岡県でトップの中学に、合格できていたのではないかと思う。
塾でもトップのクラスに上がっていたのだから。
そして今は、高校生活の準備で輝いていたことだろう。
私の長男と同級生だから、
よけいに、このことから離れられない。
彼を、私の心の中で、生かし続けていなければならないと思っている。