この11月3日で、手塚治虫が生誕80年を迎える。
「巨星墜つ」の何段抜きかの新聞見出しは、
その後見ることがあっただろうか。

初期作品の復刻やテーマ別の傑作選の出版が相次いでいる。
「新宝島」も、62年ぶり復刻へ手筈が調った。
ファンには手の出なかった、幻のオリジナル版だそうだ。

その後の日本人がマンガ好き、アニメ好きになったのは、
この人に負うと言っても言い過ぎではないだろう。
下劣なものと見られていたマンガを
芸術の域にまで高めたのだ。

それは、
卑しい仕事であった看護職を
誇り高いナースの仕事にまで高めた
ナイチンゲールに匹敵すると私は思う。

子どもたちに、夢を与えた。
希望を与え、
それを説教臭くではなく、楽しく伝えた。
その子どもたちが、しっかり大人になった。
この大人たちは、手塚治虫から学んだことを、
活かしていると言えるだろうか。

手塚がしばしば危惧した、
人類の陥る愚かな危機的終末は、
はたして遠ざかっていると、言えるのだろうか。

それにしても、生誕80年とは。
いかにこの世紀の天才が早世したかが分かる。