歯磨きの、イチゴ、レモン、アップル、
キウイ、カシス、ヨーグルト、なんてのも。

子ども用はみがき粉ではない。
立派な、大人用の歯磨き粉である。

どだい、大人にはそんな味は不要だと思われていた。
大人が、子どもみたいなものを買うはずがない、と。

だが、そもそもその大人たち自身、
子どものときに、フルーツ味の歯磨き粉の経験があるわけで、
それを使うことそのものに抵抗があるわけではない。
たんに常識的に、大人として使わないだろうというだけで、
使うこと自体を拒絶していたわけではないのだ。

すると、ほんのわずかな心理的抵抗さえ崩れれば、
その懐かしい風味にはまるということは、ありえたのである。
ともすれば、歯周病だとか口臭だとか
えらく機能的な部分のために薬のように見えていたものが、
ちょっとお洒落な、お口直しとして活用されていく。
これはなかなかのビジネスだ。

大人たちも、生まれたときからテレビがあった者ばかりだ。
アニメを見て育った世代なわけで、マンガも大好きである。
トランクスやネクタイにも、
アニメキャラクター柄がたくさん出回っている。

パチンコにしてもそうだ。
パチンコといういかにもおじさん臭かった場に、
可愛いアニメやヒーローが目白押しである。
パチンコ屋も大変になった。
台の入れ替えを頻繁にしなければ時代の波に乗れない。

しかし、中身は依然としてパチンコであるゆえに、
そのコマーシャルについては、
子どもが視聴しがちな夕刻からの時刻には、
放映できなくなりつつある。

パチンコは、コンピュータゲームと、
どこが違うのか、というふうになっているのであろう。

大人と子どもの境界線が曖昧になっている。
それとも、大人が子どものままでいる、と言ったほうがよいのか。

アニメ制作者も、アニメ世代の大人であるから、
自分の懐かしいアニメを復刻することがしきりである。
遊び心というものであろうが、
あの「ヤッターマン」など、子どもが見るよりもたぶん、
大人が見たほうが笑える素材が多い。

たまにテレビで韓国ドラマを見ると、
仮定的で人畜無害で、
いいもんだなあと思えたりもする。

さて、次はどんな味の歯磨き粉にするかな。