人ごみで吸ってはいけない。
人のコートはだいたい高い。

Don't smoke in a crowd.
Coats are expensive.


例のJTの、マナーアップキャンペーンの広告である。
電車の中吊りで見たのでメモした。
腹が立って仕方がない。
なんだ、これは?

「だいたい」とは何のことか。全く意味不明だ。英文にはそんな言葉はない。
「人ごみ」とは何か。何十人かそばにいたら「人ごみ」だと認識してくれるのか。
人と同じ空気を吸う場所で吸ってはいけない、なら分かるが。

人のコートに穴を開けて気がつかない、というふうなメッセージが、
英語から窺えるが、日本語しか読まない人には何も分からない。
コートに穴を開けることがまずいのは、「高い」からなのか?
「だいたい」に当たらない、安いコートを着ている私の場合は、穴を開けても構わないのか?
悪質な犯罪だという意識は、全く感じさせない。
「気がつかなかった」という、「わりぃわりぃ」と程度しか英語からも伝わらない。

全く、バカにしている。
こんな暴力が広告されて正当化されようとしている。
もうこの社会はだめかもしれない。

子どもの目に飛び込んでも、「気がつかなかった」で逃げることができないようにしなければ、
弱い立場の者は守られない。
気がつかなかったで許されるなら、飲酒運転も許される理屈である。
他人に影響が出るところでタバコを吸うことは、最低でも「未必の故意」にしなければ、
弱い立場の者は守られない。

何がマナーなのか。
器物損壊も傷害――へたすると失明であっても――さえも、
何の罪悪感もなく平然と行われてよい、とする広告であるに等しい。
飲酒運転が大目に見られていたのと、これは全く同類である。