いかにも嘘っぽくて信じられないようなことを挙げて、
「実はそれが……」となると、
却って信憑性を増すという、奇妙な心理がある。

それで、また始まったのだが、
どこが発信源か、私は知らない。
mixiなのか、雑誌なのか、
それがテレビ(一説には、みのもんた)で増幅されて、大変な騒ぎになっている。

朝バナナでダイエット。

「朝にバナナだけ食べて水を飲めば、痩せる」のだと。
ばかばかしくてつきあいきれないが、
怖いのは、
これに確かに多くの人が乗っていることだ。

店頭からバナナが消えていく。

これには困る。
我が家にはバナナをこよなく愛する少年がいる。
毎日常備しておくことにしていて、
それで一日のスタートを切ることが習慣となっているのだ。
バナナは、比較的安価で
――だからまた生産国のことを思うといろいろ問題含みなのだが――
栄養やエネルギーの点でも優等生の食物なのである。

その朝バナナをまたブログか何かで勧めている人が大勢いる。
その口調はたいてい「……だそうです」ばかりだ。
自分で考えたり、検証したりするつもりはもともとない。
ただ聞いた話だから、それを伝えても、自分には罪がない、とお考えだ。

とんでもない。
そんな無責任が当然だと考えられているからこそ、
風評被害が広がるし、
マルチ商法が人の人生を変えつづけていくのだ。

「あるある大事典」の納豆のときに、
人々は痛い目に遭ったのではなかったか。
あのとき、番組が悪い、などと批判していた烏合の衆は、
今また、バナナに群がり、宣伝している。

ばかばかしい、では済まされない。
懲りないこの現象は、精神に染みついたものであり、
そして恐ろしいものへつながる懸念を払拭させてくれないものである。