人を騙す方法の一つに、
「もうこれしかありませんよ」と迫る方法がある。

もちろん、そこへ至らせるための傍証が数々なされた上でのことだ。
いろいろな選択肢がある上で、
「これしかない」と言っても効果がない。

しばしば、これはマインドコントロールの手法としてよく用いられる。
宗教的に、追い込んでいくと、
今度は人格全体が相手のいいなりになっていく怖さがある。

その場限りのコントロールというのもある。
金さえ受け取ればそれで終わりというケースである。
「もうこれを買うしかありませんよ」

期間限定などの言葉に私たちは弱い。
いまだけ、という言い方に、つい手が伸びてしまう。
4時の市、などというのも、考え方は遠くない。

振り込め詐欺も、そんな心理を利用するものだろう。
私は振り込めではないが、
引っかかったことがある。
緊急の事柄にあっては、人の判断はつい揺らぎやすい。

巧妙なのは、
「選択はあなたがしてください」という突き放しである。
実のところ、選択肢があったにせよ、
どれを選ぶかは決まっているような事態へ導かれているのである。
本人は、自分で選んだと思っているが、
実のところ、相手にうまく利用されて誘導されているという場合である。

こういうのを、本当にマインドコントロールというし、
露骨な言葉であるが、洗脳とも言う。

いずれにしても、「これしかない」式の話には、
まずは警戒するしかないのだろうか。