しょせん、揚げ足取りだと軽くあしらわれるだけなのだろうが、
選挙で勝ったあまり、石原慎太郎東京都知事がまたとんでもないことを口走った。
いや、それは確信犯であり、意図的であった。

阪神淡路大震災で、自衛隊派遣が遅れたために二千人が死んだ、と言ったのだ。

根拠も何もないのに、数字を使うことで、真実味をもたせるのは、
ペテン師の常套手段だが、
これはペテンとも言えぬほどに、嘘八百なのだ。
それは、巨大な嘘が真実になるという、危険な思想のなせるわざなのだ。

兵庫県の井戸敏三知事が、当然、憤りを示した。
示さなければならない。
だが、東京という日本の中心を天下にした者には、怖いものなど何もない。
彼以上に、任せられる人がいなかったというのだろうか。
東京都の人々も、彼のすべてを受け容れたわけではないだろう。
だが、彼は、自分のすべてを受け容れられた、と勘違いしている。
いや、すべてが受け容れられた、と人々に信じさせようとしている。

まさに、ゲッベルスばりの才能である。
小説家として、人を虚構に陥れる術に長けているせいだとも言えようか。

井戸知事は、
「東京で心配される地震においてリーダーとなる知事がそんなことでは、
都民は安心して眠れないだろう」と皮肉っている。
だが、それも通じまい。
東京の人は、それが通じないほど、罠に陥っているのだろうか。