手塚治虫生誕80年ということで、
ちょっとした出版ブームになっている。

戦後マンガを支え、発展させ、
自ら最期まで現役で描き続けた人。
約20年前に亡くなったのだから、
あまりにも早かった。

死後20年を数えて、ようやく、
まとまった手塚の評価が出てきた。
もっと早くにいろいろ出ていてもよかったが、
その間は、せいぜい
手塚の直筆の本や対談などが主で、
マンガ作品そのものが編集されていることが多かった。

社会的な評価がほぼ一つの方向にかたまってくるためには、
いくらかの時間が必要であった。
それが、この20年間であった。

イエスの死後20年以上経ってから、
マルコ福音書が編まれている。
もちろん、それまでも諸資料はあったはずであるが、
正式に福音書が成立したであろうのは、
やはり20年以上、
研究者によると40年も50年も経ってからのことだそうである。

それくらい経たないと、一定の評価も出てこないのだろう。
昔よりも格段に時代変遷の多い現代において、
手塚治虫のことが20年経ってようやく評価が出てきたということを思うと、
イエスの時代、福音書が書かれた半世紀あるいはそれ以上という時代も、
決して長すぎることはないのだと分かる。

今なお私たちは、第二次世界大戦(太平洋戦争)について
論争しているではないか。
まだそれについての評価が定まっていないことは、
確信的に言い放って辞めさせられ、
なおも態度を曲げることのない、前空幕長……