対立意見があるときに、
一方は他方の立場を理解していて、
もう一方は相手の立場を理解できない、ということがある。

たとえばAはBのbという考えを理解しているが、
aという意見をもっている。
Bはbという意見をもっているが、
Aのaという考えには思いも及ばない。

結局Aはaを引っ込めることになるだろう。
仕方がないので、aという意見を大切にしつつも、
bに従って取り組む姿勢があるならば、
それを包容力と呼んでもよいだろう。
他方Bは、自分が正しいんだ、それが当たり前だ、と
ますます思いこむことになるだろう。

この後、この二人が、
この論理で行動していくとすれば、
Aはどういう状況でも、歩み続けることができるだろう。
しかし、Bは、押し通していける間は有頂天なのだろうが、
壁にぶつかったとき、崩れかねない。
自分は正しいのに、なぜ? と。

相手の立場を理解する、あるいは尊重する。
地位や権力をもつ者が、心してこれを自分の銘としておかなければ、
そのうち間違いなく、破滅することになるだろう。

世間に、そういう空気が少なからずある点を、
私は密かに危惧している。