明日、香港・シャティン競馬場で香港国際競走が開催されます。
春のチャンピオンズデーと並ぶ香港競馬の大一番・香港国際競走。
1日に芝2400m、1200m、1600m、2000mのチャンピオンを決める香港競馬最高峰。
日本馬は1995年香港国際カップ(当時GⅡ 芝1800m)優勝のフジヤマケンザンに始まり、これまで幾度となく香港の地で優勝を飾ってきました。

(2020年 京都・藤森神社にて)
今年も各4競走計12頭の強力な日本馬が遠征。
いずれのレースも優勝を狙える布陣と言えるメンバーですが、やはり注目は国際競走3レース目となるマイルではないでしょうか。
ここには昨年の優勝馬ゴールデンシックスティが登場。
ゴールデンシックスティは現在15連勝中の現役香港最強馬で、サイレントウィットネスが持つ17連勝の記録にあと2つと迫っており、強力日本勢を抑えて新記録達成にリーチを掛けるか。
特に世界中が注目するレースですね。
それではレース順に予想を紹介していきます。
番号は馬番です。
ゲート番と馬番は別なのでご注意下さい。
まずは芝2400m戦の香港ヴァーズから。

昨年の香港ヴァーズはモーグルが優勝。

発走は日本時間15:00です。
地元・香港3頭、日本2頭、アイルランド、イギリス、フランス各1頭の計8頭で争われます。
欧州勢が強さを見せている芝2400m戦
芝2400mという距離から、過去27年中実に20回もの優勝経験があるヨーロッパ勢。
日本馬の優勝は2001年ステイゴールド、2016年サトノクラウン、2019年グローリーヴェイズの3頭。
今年は全体的なメンバーレベルはそこまで高くは感じませんが、アイルランド、イギリス、フランスから遠征してきた3頭はいずれもこのGⅠ香港ヴァーズを目標に調整されてきた印象もあり、それなりの勝負気配は感じられます。
日本馬2頭の内、2019年覇者グローリーヴェイズはもちろん、2001年の優勝馬ステイゴールドの産駒ステイフーリッシュにも親子制覇が懸かるだけにこちらにも注目したいところですね。
◎8エベイラ
◯2グローリーヴェイズ
▲1パイルドライヴァー
△4ステイフーリッシュ
△6リライアブルチーム
これまで重賞4勝をあげているフランスからの遠征馬◎エベイラ。
重賞4勝中2勝は2400m、2500mであげており、この距離に対しての適性は十分。
GⅠ勝ちは無いが7月のGⅠサンクルー大賞ではブルームの僅差2着があり、今回のメンバーレベルなら十分に通用していい。
前走のGⅠジャンロマネ賞は後のジャパンカップ5着馬グランドグローリーの6着に終わったが、今回の距離延長は大きくプラスに働くはずで、当然見直しが必要だろう。
差す競馬も出来るようだが、近走のような先行力が武器の馬で、ここは1番ゲートのリライアブルチームが引っ張る展開を、好位の3~4番手からの良い位置を取れそう。
鞍上クリストフ・スミヨン騎手の手綱捌きにも期待。
一昨年の勝ち馬でGⅠ香港ヴァーズ2度目の優勝が懸かる日本の◯グローリーヴェイズ。
香港から帰国後はGⅡ京都大賞典優勝、三冠馬3頭対決に沸いた昨年のGⅠジャパンカップでも上位と僅差の5着。
今年は勝利こそ無いが、春の香港・GⅠクイーンエリザベスⅡ世カップで同じ日本のラヴズオンリーユーに3/4馬身差2着、前走のGⅡオールカマーでは出遅れながらも後方から渋とく追い上げて0秒3差3着と強い内容を見せた。
シャティンの馬場適性は言うまでもなく、鞍上ジョアン・モレイラ騎手の手綱は非常に魅力的。
今年のレベルなら自身2度目の優勝は十分に狙える。
馬券はエベイラ中心の三連単で買いたいですね。
続いては芝1200m戦の香港スプリント。

昨年の香港スプリントはダノンスマッシュが優勝。

発走は日本時間15:40です。
(阪神ジュベナイルフィリーズと同時刻です)
地元・香港9頭、日本3頭の計12頭で争われます。
タイトル奪還を期してスプリント大国VS強力日本勢
昨年は日本のダノンスマッシュが父ロードカナロアに続く親子制覇。
ご存知、香港競馬のスプリントレベルは非常に高く、毎年このGⅠ香港スプリントに対しての地元馬の意識は相当。
そんなGⅠ香港スプリントを昨年は日本馬が優勝した事もあり、今年こそは是が非でもタイトルを奪還したいところでしょう。
春のGⅠチェアマンズスプリントプライズの1、2着ウェリントン、コンピューターパッチ、前哨戦を含む重賞連勝中のラッキーパッチの強力香港勢に対して、GⅠスプリンターズステークスの1、2着ピクシーナイト、レシステンシア、昨年覇者でここが引退レースになり、今年は父ロードカナロアに続く同レース連覇が懸かるダノンスマッシュと、こちらも強力メンバーの日本勢。
日本のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズと発走時刻が被るのは残念ですが、スプリント大国香港対強力日本勢との熱い戦いは是非ともライブで観戦したいですね。
◎2ピクシーナイト
◯11クーリエワンダー
▲12レシステンシア
△7コンピューターパッチ
△5ラッキーパッチ
△4ウェリントン
△1ホットキングプローン
メンバー唯一の3歳馬、前走GⅠスプリンターズステークスを制した日本の◎ピクシーナイト。
1月にGⅢシンザン記念でスピードを生かして逃げ切り優勝、GⅢアーリントンカップ、GⅠNHKマイルカップと続けて敗れると以降は本格的にスプリント路線へ。
古馬相手のGⅢCBC賞、GⅡセントウルステークスと続けて2着に好走、前走GⅠスプリンターズステークスでは好位追走から直線を向くと後続を突き放して優勝。
まだ若い3歳馬だが530キロ超えの雄大な馬体、前走の圧巻振りから強力香港勢にも引けは取らないだろう。
シャティンの馬場は初めてになるが、父が香港で鳴らしたモーリスだけに血統的には十分適性はありそう。
脚質に自在性があるので位置取りにも大きな注文は付かない。
ここで良い結果を出せればこれからが大いに楽しみになる。
今年の上半期はデビューから5連勝で重賞制覇を飾り、次世代の香港スプリント界のエースと目されていた◯クーリエワンダー。
下半期に入るとGⅡプレミアボウル、前哨戦のGⅡ香港ジョッキークラブスプリントともに1番人気に推され、いずれも5着に敗退。
それでも2走前は直線で進路が塞がる不利、前走は直線で大きくヨレての敗戦。
特に前走の走りを見る限りはまだまだ成長の余地はありそうだし、現時点でもまともならもっと走れるはず。
連敗していてもモレイラ騎手が手綱を取り続けるあたりにも期待は高そうな馬に感じられる。
これまでより相手関係は厳しくなるが能力全開なら。
馬券はピクシーナイト中心の三連複で買いたいですね。
3レース目は芝1600m戦の香港マイルです。

昨年の香港マイルはゴールデンシックスティが優勝。

発走は日本時間16:50です。
地元・香港6頭、日本4頭、アイルランド1頭の計11頭で争われます。
現役香港最強馬の牙城を崩せるか
ここは今年の香港国際競走4競走の中で最も注目度が高いであろう一戦。
通算19戦18勝、昨年のGⅠ香港マイルなど現在15連勝の現役香港最強馬ゴールデンシックスティに世界中の視線が集まります。
サイレントウィットネスの持つ17連勝が香港競馬の最多連勝記録で、その記録にあと2つで並ぶゴールデンシックスティ。
連勝記録も去ることながら、これだけの馬なので世界中のマイル近辺の大レース出走が求められている存在で、一時は日本のGⅠ安田記念参戦プランの噂も出ました。
そんな怪物に対して連勝阻止も含め日本の強力馬4頭。
相手が相手だけにゴールデンシックスティを負かすようならその馬にも大きな評価を得られ世界にも名が売れる事は必然的。
ゴールデンシックスティの強さ・連勝も見たいし、そんな最強馬の牙城を崩す日本馬の登場にも期待したいところで非常に楽しみです。
◎1ゴールデンシックスティ
◯6サリオス
▲2ダノンキングリー
△4ワイクク
△7ヴァンドギャルド
△8スカイダーシー
△3インディチャンプ
既に説明不要の香港最強馬◎ゴールデンシックスティ。
好位~中団から確実な脚を使って常に上位争いには加わってくる馬で展開にも左右されない。
昨年のGⅠ香港マイル、今年春のGⅠチャンピオンズマイルでも海外の強豪を抑えて優勝、調整レースとも言える今季初戦の前走GⅡ香港ジョッキークラブマイルも仕上がり途上ながら58キロの斤量で優勝した。
個人的に短距離~マイルで日本最強に君臨したグランアレグリアとの対決が見られなかったのは残念だが、もはや香港に敵は居ないし、来年は日本・ヨーロッパなどでの走りを是非見てみたいもの。
日本馬にも頑張って欲しいところだが、世界的な逸材だけに、ここも無事に突破して欲しい。
GⅠ朝日杯フューチュリティステークスの優勝馬◯サリオスは、ようやく適性距離と思われるマイルにレースを絞ってきた。
GⅠ大阪杯は2000mに加えて道悪、GⅠ安田記念は疲れ残り、前走のGⅠマイルチャンピオンシップは休み明けの大幅馬体増、先行するも究極の上がり勝負になって飲み込まれる形で6着。
今年は満足に力を発揮出来ていないレースが続いているが、今回は叩き2走目の上積みが見込め、馬体も絞れて締まってくるはずで、強豪揃いの今回で大きな変わり身を見せてくる可能性は十分にありそう。
ペースはそこまで速くはならないと思うし、日本ほど瞬発力を求められる事は無いので、1番ゲート発走なので、スタートを決めて前走のようにある程度先行する競馬をして欲しいところ。
ダービー以来となる鞍上の手綱は魅力的で、ゴールデンシックスティをマークして他馬の仕掛けが少しでも遅くなれば。
馬券はゴールデンシックスティ中心の三連単で買いたいですね。
ラストを飾るのは芝2000m戦の香港カップです。

発走は日本時間17:30です。
地元・香港6頭、日本3頭、アイルランド2頭、イギリス1頭の計12頭で争われます。
日本が誇る国際派のラストラン
いよいよ香港国際競走のフィナーレを飾る2000m戦・香港カップ。
ここには春の香港・GⅠクイーンエリザベスⅡ世カップ、秋のアメリカ・GⅠブリーダーズカップ・フィリー&メアターフを制したラヴズオンリーユーのラストラン。
ラヴズオンリーユーは香港はもちろん、その海外遠征経験から、世界にも名が知られている国際派。
海外で高い評価は当然で、矢作調教師はラストランもGⅠ有馬記念に目もくれず、適距離である中距離のGⅠ香港カップを選んできました。
ラストランを飾る可能性は十分にありますが、ここは同じ日本馬も含め、香港・ヨーロッパ勢もかなりハイレベルなメンバーが揃った印象。
香港国際競走最後の一戦も白熱した戦いが期待出来そうですね。
◎8ドバイオナー
◯4ヒシイグアス
▲12ラヴズオンリーユー
△1カーインスター
△10ポリショイバレエ
△3グロリアスドラゴン
海外の各ブックメーカーでラヴズオンリーユーと人気を二分する形になっているイギリスの◎ドバイオナー。
デビュー当初はさほど目立つ存在ではなかったが、今年から本格的に10F戦線に参入すると重賞2勝を含む3連勝を飾った。
何と言っても欧州10F戦線最高峰のひとつである前走のGⅠ英チャンピオンステークスでは3/4馬身差の2着と奮闘。
惜しくも敗れたが、アダイヤー、ミシュリフ、アデイブなど欧州中距離戦線の主力に先着した実力は非常に高く評価出来る。
今季最後のレースであるここは距離的に狙っての参戦だろうし、まだまだ伸び代十分の3歳馬だけに前走からの短期間で更に強くなっている可能性もある。
GⅠ勝ちは無くともラヴズオンリーユーと同等レベルの評価をされるあたり前走の走りはやはり本物か。
今年の日本中距離戦線の新星◯ヒシイグアスはGⅢ中山金杯、GⅡ中山記念と重賞連勝。
4連勝を飾り更なる飛躍が期待された今年の上半期は連勝の疲れを懸念されて休養、ぶっつけでの出走となった前走のGⅠ天皇賞・秋は強力メンバー相手に中団からしっかり脚を使って5着と健闘、改めてポテンシャルの高さは見せた。
今回は休み明けを叩いた上積みは確実に見込め、更にはジョアン・モレイラ騎手に鞍上強化。
シャティン競馬場の芝2000mはスタートしてすぐに1コーナーを向かえる為、外枠は有利とは言えないが、自在性がある立ち回りが出来る馬なので、鞍上込みでそこまで気にする必要は無いと思う。
日本馬3頭の中では一番評価・実績は低い立場だが、名門厩舎所属馬らしく非常に好馬体の馬で持った能力は現時点での成績以上に高そう。
馬券はドバイオナー中心の三連単で買いたいですね。
それでは皆さん、グッドレースを!!

