明日、今年度最後のGⅠ競走・ダート競馬の総決算、東京大賞典が大井競馬場で行われます。
1998年の東京大賞典は船橋のアブクマポーロが優勝。
アブクマポーロは父クリスタルグリッターズ、母バンシューウェーという血統の牡馬。
アブクマポーロは1995年5月、地方・大井競馬場でデビュー。
大井競馬場1200mのデビュー戦を優勝するが、この年は3勝をあげるなど堅実な成績を残すが、そこまで目立つ馬ではなかった。
1996年大井競馬場での初戦を優勝すると次走から船橋に転入。
転入初戦を楽勝すると、その後も勢いが止まらず、1997年4月には準重賞を優勝、5月の重賞・大井記念でも6馬身差を付けて楽勝、大井在籍時から怒涛の7連勝で重賞初制覇を飾った。
6月、地方・中央指定交流GⅠ競走、帝王賞に3番人気で出走。
先手を取って逃げるJRA武豊騎手鞍上の1番人気バトルライン、それをピッタリマークする的場文男騎手とコンサートボーイ、アブクマポーロは中団。
直線では経済コースで逃げ粘るバトルライン、真ん中にコンサートボーイ、外からアブクマポーロと3頭の追い比べになるが、最後は僅かに地元・大井のコンサートボーイが先着、アブクマポーロは2着惜敗。
その後、サンタアニタトロフィーを優勝、秋にはJRA中山の芝重賞・GⅡオールカマーに出走、2番人気に支持されるが芝適性が無かったのか8着に終わる。
再び南関東に戻ると大井・グランドチャンピオン2000(現廃止)でコンサートボーイにリベンジを果たす圧勝、続くJRA中京のGⅡ東海ウインターステークス(現東海ステークス)では1番人気に応えて優勝し、初のJRA重賞制覇。
しかし、年末の大一番、東京大賞典(当時2800m)では距離が堪えたのか、JRAトーヨーシアトルの3着に敗れた。
日本ダート最強へ
1998年に年が明け、初戦のGⅠ川崎記念優勝を皮切りにGⅡダイオライト記念、マイルグランプリ、GⅢかしわ記念、GⅠ帝王賞、GⅢNTV盃(現JpnⅡ日本テレビ盃)と重賞6連勝。
いずれのレースでも中央・地方の強豪馬相手にほぼ楽勝で、既にアブクマポーロは現役日本最強ダートホースの呼び声も多くなっていた。
秋には盛岡競馬場へ遠征。
GⅠマイルチャンピオンシップ南部杯に圧倒的1番人気で出走するが、不良馬場を味方に付けて先行した地元・岩手のメイセイオペラが逃げ切り、アブクマポーロはJRAタイキシャーロックにも先着を許す3着に敗れた。
地元・南関東に戻ってのグランドチャンピオン2000を優勝、年末にGⅠ東京大賞典に出走する。
この年から距離が2000mになったGⅠ東京大賞典には南部杯の優勝馬メイセイオペラ、前年の帝王賞馬コンサートボーイ、JRAからGⅠフェブラリーステークスの優勝馬グルメフロンティア、武豊騎手鞍上のエムアイブランなどが出走。
地元・大井のサントスが単騎で逃げる展開で、メイセイオペラは3番手、そのインコースにコンサートボーイ、アブクマポーロは常に先団を射程に入れた位置、エムアイブラン、グルメフロンティアは中団~後方。
サントスが大きくリードを取って逃げ、キャニオンロマン、メイセイオペラ2頭が並んで2番手、その直後の内にコンサートボーイ、アブクマポーロは馬群の真ん中辺り。
4コーナーを回って直線、メイセイオペラが前に出て先頭に立つと、その内を突いてアブクマポーロが一気にエンジン点火。
あっという間にメイセイオペラを引き放しに掛かり、この時点で既に勝負あり。
最後は鞍上の石崎隆之騎手(現引退)から珍しくガッツポーズが飛び出す完勝で、文句無しに日本ダート最強の座に着いた。
1999年、そのあまりの強さにダート世界最高賞金レース・GⅠドバイワールドカップ遠征も検討されるが、話は流れ、国内に専念する事になった。
8歳になったアブクマポーロは衰えを知らず、GⅠ川崎記念、GⅡダイオライト記念ともに着差以上の楽勝。
この年もダートの王道を歩んで行くかに思われたがGⅡダイオライト記念後に捻挫をしてしまう。
症状は軽かったが、陣営の判断で復帰する事なく引退が決定、種牡馬となる。
しかし、目立つ産駒は現れず、2005年に種牡馬を引退。
現在は北海道の牧場で余生を過ごしています。
32戦22勝。主な勝鞍、GⅠ東京大賞典、GⅠ帝王賞、GⅠ川崎記念連覇、GⅡ東海ウインターステークス、GⅡダイオライト記念連覇、GⅢかしわ記念、GⅢNTV盃、グランドチャンピオン2000連覇、大井記念、マイルグランプリ、サンタアニタトロフィー、GⅠ帝王賞2着。
※レース名・格付けは当時の表記です。
発走は15:40です。
JRAから7頭、地元・大井7頭、船橋2頭の計16頭で争われます。
競馬界も例外無く、新型コロナウィルスの影響を大きく受けた2020年。
依然、感染拡大が止まる気配を見せない状況の中、今年2020年の地方・中央のGⅠ/JpnⅠ競走全てが日程通り無事に実施されて来たのは競馬ファンとして嬉しい限りです。
そしていよいよ向かえる大一番、今年最後のGⅠ競走・東京大賞典。
ダート王者クリソベリルなど、ダートトップクラスが多く回避し、手薄な印象のJRA勢。
昨年優勝馬オメガパフューム、3歳ダート王ダノンファラオなどは出走も、例年に比べて手薄なJRA勢に対して上位争いを見込んでか、強力メンバーを揃えて迎え撃つ地方勢。
モジアナフレイバー、ノンコノユメとお馴染みの地元・大井のツートップに加え、その2頭を前哨戦で撃破したカジノフォンテン、JpnⅠJBCクラシック地方最先着(4着)のミューチャリーなど強力メンバー。
実績ではJRAオメガパフュームが1頭抜けた存在ですが、地方勢・JRA勢の全体的なメンバーレベルはほぼ互角、ややJRA勢が優勢な程度で、非常に拮抗した面白い戦いになりそうですね。
2005年アジュディミツオー以来の地方所属馬の優勝も大いに期待出来そうで、本当に楽しみです。
それでは東京大賞典の予想を紹介します。
評価順で。
◎3モジアナフレイバー
○7オメガパフューム
▲9ウェスタールンド
△16ミューチャリー
△8ノンコノユメ
△1テーオーケインズ
△5ダノンファラオ
本命はモジアナフレイバー。
大井競馬生え抜きで地方競馬をリード、JRAのダート最強クラスとも僅差の戦いを演じているモジアナフレイバー。
昨年のJpnⅠ帝王賞で掲示板に入ると、秋のJpnⅠマイルチャンピオンシップ南部杯では4コーナーを抜群の手応えで回り、ラストは3着ゴールドドリームに対してクビ差4着に健闘。
年末、昨年のGⅠ東京大賞典では直線に入ってからは一瞬前をまとめて交わす勢いで上がり、最後は脚色が鈍るも3着。
それでもインコースを突いて2着に入ったノンコノユメに対して外を回して追い込んだモジアナフレイバーの強さが改めて際立つ内容だった。
今年、芝スタートのGⅠフェブラリーステークス、ドバイ中止の影響で状態が狂った中で出走したJpnⅠ帝王賞は度外視、JpnⅠマイルチャンピオンシップ南部杯では昨年を上回る走りでゴールドドリームに先着する3着。
前走の勝島王冠での3着は余裕残しであくまでも今回への叩き台で、状態は確実に上がっているはず。
これまでGⅠ/JpnⅠで戦って来た中では遥かに手薄なJRA勢で、運も向いて来た感じだし、ここは何とか決めて欲しい。
対抗はオメガパフューム。
GⅠ東京大賞典を連覇、JpnⅠ帝王賞のタイトルも持つダートトップホースの1頭であるオメガパフューム。
今年もGⅢ平安ステークスを優勝、JpnⅠ帝王賞、JpnⅠJBCクラシックともにクリソベリルの2着に敗れるも、手堅く結果を残す実力は流石で、クリソベリルに次ぐダートNo.2の位置に付く馬とも言える存在。
過去2年のGⅠチャンピオンズカップで好結果を得られなかった事から今年は回避、前走後はGⅠ東京大賞典1本に調整され、メイチ感が漂う。
ダート2000mでは(4・4・0・0)、大井コースは(3・3・0・0)で間違いなく大井2000mはベストの舞台設定。
脚質にも融通が効く馬で、展開に応じた位置で競馬が出来る器用さがある。
史上初東京大賞典3連覇が懸かるだけに大きな注目が集まる。
ウェスタールンドは2018年のGⅠチャンピオンズカップで当時ダート最強のルヴァンスレーヴの2着に入った実力馬。
今年のGⅢアンタレスステークスで重賞初制覇、前走のJpnⅡ浦和記念でも勝ちに等しいタイム差無しの3着と、8歳にして充実期を向かえている。
4走連続で上がり最速をマークしているように、競馬場を問わず末脚を伸ばして来る馬なので、初の大井コースも問題無いだろう。
馬券はモジアナフレイバー、オメガパフューム中心の三連単で買いたいですね。


