本日、東京競馬場で国際招待GⅠ競走、ジャパンオータムインターナショナル・ロンジン賞・第40回ジャパンカップが行われます。
1999年のジャパンカップはスペシャルウィークが優勝。
スペシャルウィークは父サンデーサイレンス、母キャンペーンガールという血統の牡馬。
スペシャルウィークは1997年11月にデビュー。
阪神芝1600mのデビュー戦を1番人気に応えて優勝。
2戦目になった1998年1月の白梅賞では地方馬アサヒクリークに足元をすくわれて2着に敗れる。
しかし、その後GⅢきさらぎ賞、GⅡ弥生賞と重賞連勝、クラシック戦線へ向けての最有力候補となる。
この年のクラシック戦線はスペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイローの3強対決が注目され、一冠目のGⅠ皐月賞は2番人気のセイウンスカイが優勝、2着に3番人気キングヘイロー。
1番人気に支持されたスペシャルウィークは上がり最速の脚を使うも3着に敗れる。
二冠目のGⅠ東京優駿・日本ダービーでは皐月賞で負けて強しを印象付けたスペシャルウィークが再び1番人気に支持される。
押し出された形でハナを切ったキングヘイローにセイウンスカイがぴったり2番手をキープ、スペシャルウィーク武豊は中団~後方待機。
直線に入るとセイウンスカイが一旦先頭に出るが、並ぶ間も無くスペシャルウィークが一気に突き抜け、最後は後続に5馬身もの差を付けて楽勝。
10度目の挑戦で念願のダービージョッキーに輝いた鞍上武豊騎手からは歓喜のガッツポーズが飛び出した。
秋は二冠を目指してGⅡ京都新聞杯から始動、これを優勝し、挑んだ本番GⅠ菊花賞ではラストは鋭く追い込むも、当時の芝3000mを世界レコードで優勝するセイウンスカイの前に2着に終わった。
続くGⅠジャパンカップでは騎乗停止中の武豊騎手に替わり、岡部幸雄騎手(現引退)を鞍上に迎え、1番人気で出走するも、エルコンドルパサーの3着に敗れた。
1999年の年明け初戦、GⅡアメリカジョッキークラブカップをオリベエ・ペリエ騎手鞍上で1番人気に応えて優勝。
3月のGⅡ阪神大賞典では1番人気を前年のGⅠ天皇賞・春の優勝馬メジロブライトに譲るも、直線では2頭が3番手を大きく引き放し、最後はスペシャルウィークがメジロブライトを3/4馬身押さえて優勝。
5月のGⅠ天皇賞・春もセイウンスカイが逃げる展開を好位追走、直線では追い込むメジロブライトに半馬身差を付けて優勝、GⅠ2勝目を飾った。
7月、前年のGⅠ有馬記念を制した同期の外国産馬グラスワンダーとの対決が大きく注目されたGⅠ宝塚記念。
スペシャルウィーク陣営からは宝塚記念を勝てばフランス・GⅠ凱旋門賞に挑戦する事も発表され、大きな盛り上がりを見せるも、好位を進むスペシャルウィークをグラスワンダー鞍上の的場均騎手(現引退)は道中徹底マーク。
直線ではグラスワンダーに決定的とも言える3馬身差を付けられて2着に敗れた。
日本の総大将として
宝塚記念の敗戦により、海外遠征を見送られたスペシャルウィークは秋初戦のGⅡ京都大賞典に出走。
圧倒的1番人気に支持されるが、過去最高の馬体重が影響したのか、まさかの7着に大敗。
馬体重が影響したとはいえ、負け過ぎた印象が大きく、続く天皇賞・秋では4番人気まで評価が落ちた。
それでも汚名返上に燃える陣営は、前走からマイナス16キロまで馬体を絞って出走。
後方からじっくりレースを進めたスペシャルウィークは最後の直線で外に持ち出されると、競り合うステイゴールド、エアジハードらをまとめて交わして優勝。
前走の敗戦を一気に払拭、見事に天皇賞春秋制覇を飾った。
そして1999年11月28日、ジャパンカップに出走。
1番人気は当年の仏・愛ダービー馬で、前走のGⅠ凱旋門賞でエルコンドルパサーを下して日本の夢を打ち砕いたフランスのモンジュー。
他にも英ダービー馬ハイライズ、独ダービー馬ボルジア、ドイツ最強タイガーヒル、ドバイターフクラシック(現ドバイシーマクラシック)優勝馬フルーツオブラヴ、この年からジャパンカップの対象国になった香港の最強馬インディジェナスと非常に強力な海外勢。
迎え撃つ日本勢は日本ダービー、天皇賞春秋制覇のGⅠ3勝スペシャルウィークが大将格、オークス馬ウメノファイバー、GⅠ2着4回のステイゴールド、サイレンススズカの弟で菊花賞3着のラスカルスズカなどの布陣。
大方の予想通りアンブラスモアがハナを切り、平均ペースの流れをスペシャルウィークは中団やや後方、その後に1番人気のモンジューが位置。
後続を引き放して逃げるアンブラスモアに徐々に後続が差を詰め、4コーナーでは抜群の手応えでスペシャルウィークが進出、それに合わせる形でモンジューも先団を射程に入れる。
直線に入り、一気にスペシャルウィークが抜け出すと、内から香港のインディジェナス、馬場の真ん中からハイライズ、外からモンジューと外国勢が日本のスペシャルウィーク目掛けて襲い掛かる。
しかし、前との差は詰まらず、世界の強豪を従えてスペシャルウィークが優勝。
2着は香港のインディジェナス、3着にイギリスのハイライズ、1番人気の世界最強馬モンジューは4着。
その豪華な世界の強豪相手に、スペシャルウィークは日本の総大将として価値ある勝利を飾った。
続くGⅠ有馬記念では再びグラスワンダーとの対決になり、最後は非常に際どい勝負になるが、ハナ差敗れて無念の2着。
この有馬記念を最後にスペシャルウィークは引退し、種牡馬入り。
種牡馬として日・米オークスを制したシーザリオ、GⅠ6勝のブエナビスタ、東京大賞典優勝のローマンレジェンドなどを輩出するが、2018年4月に放牧中の怪我が原因で亡くなりました。
17戦10勝。主な勝ち鞍、GⅠ東京優駿・日本ダービー、GⅠジャパンカップ、GⅠ天皇賞・春、GⅠ天皇賞・秋、GⅡ阪神大賞典、GⅡアメリカジョッキークラブカップ、GⅡ弥生賞、GⅡ京都新聞杯、GⅢきさらぎ賞、GⅠ菊花賞2着、GⅠ有馬記念2着、GⅠ宝塚記念2着。
発走は15:40、東京最終第12レースです。
フランスからウェイトゥパリスが参戦。
いよいよ牝馬三冠を含むGⅠ8勝のアーモンドアイ、無敗のクラシック三冠馬コントレイル、無敗の牝馬三冠馬デアリングタクト、史上初3頭の三冠馬の直接対決が実現した世紀の一戦。
三冠馬がひとつのレースに3頭、内2頭は同年での牡・牝無敗の三冠馬という事で、このようなレースを見れるのは恐らく最初で最後になると思われます。
個人的にもデアリングタクト、コントレイル2頭の対決がジャパンカップで見たいと思っていましたが、それが実現、更に香港に遠征すると思っていたアーモンドアイまでまさかの出走を表明。
本当に驚きましたね。
ジャパンカップに3頭が出走するまで各オーナーサイドの様々な思惑はあったと思いますが、今年は新型コロナウィルスが発生する異例の事態。
これはコロナ渦の中でも毎日毎週競馬を支え続けた競馬ファンへの最高の恩返しとも言え、願わくば全ての競馬ファンにとって最高のレースになって欲しいと思います。
もちろん、日本最高峰のジャパンカップという事で、3強以外も豪華なメンバーが顔を揃え、2頭の菊花賞馬ワールドプレミア、キセキ、ダービー馬マカヒキ、香港GⅠ馬グローリーヴェイズ、サンクルー大賞を優勝したフランスのGⅠ馬ウェイトゥパリスと、観るだけでもお金を取れるメンバー。
まあ、馬券は買いますが(笑)買う限りはもちろん、労働で得た大切なお金ですし、全力で当てにいきたい。
競馬史的にも3強対決と言われた3頭で決まる方が少ないですし、これだけ一般ニュースでも取り上げられ、競馬ファン以外の人間からも3頭ばかりに注目がいき、他の強豪馬があり得ないようなオッズになっているのは見逃せません。
これも今まで競馬を支え続けたファンへの恩返し、、になるかは分かりませんが(笑)、冗談はさておき、こんなオッズなら狙う価値は十分にあると言えます。
競馬はファン、関係者にとっても真剣勝負。
紙一重の勝負である競馬に絶対はありませんし、出走する限りはどの馬にも可能性はあります。
それではジャパンカップの予想を紹介します。
評価順で。
◎5デアリングタクト
○13ユーキャンスマイル
▲6コントレイル
△15グローリーヴェイズ
△2アーモンドアイ
△8ウェイトゥパリス
本命はデアリングタクト。
元々ジャパンカップ出走を表明した時点で、もしコントレイルとぶつかればデアリングタクトを本命にしようと思っていました。
その後アーモンドアイも出走する事になりましたが、デアリングタクト本命は全く変わりませんでした。
もちろん、色々な角度から考えてはいましたが、やはり3強の中で一番余裕を持ったローテーションで調整、早くからジャパンカップに照準を合わせて来たのは大きい。
更に3歳牝馬で53キロの斤量で走れるのは最も有利な条件とも言え、過去のジャパンカップでも3歳牝馬はジェンティルドンナ、デニムアンドルビー、アーモンドアイ、昨年のカレンブーケドールが上位に入っている。
優勝した牝馬三冠の中では今回と同じ府中2400mのGⅠ優駿牝馬・オークスでのパフォーマンスが一番良かった印象で、舞台設定は間違いなく合う。
内枠寄りの枠順になったが、GⅠ桜花賞での走りから荒れた力の要る馬場も問題無いし、直線で上手く外に出せれば牡馬も含めた世代トップの力を見せてくれるだろう。
対抗はユーキャンスマイル。
この馬も前走のGⅡアルゼンチン共和国杯が終わった時点でジャパンカップか有馬記念に出て来たら重い印を付けようと思っていた馬。
右回りでもそれなりの実績はあるが、左回りでこその馬で、前走後からの動向に注目していたが、有馬記念より前にジャパンカップに出走して来てくれたのは嬉しい限り。
GⅠで大きく崩れた事が無い馬だが、昨年のGⅠ天皇賞・秋ではポジション差はあったとはいえ、アーモンドアイを凌ぐ上がり最速33秒7の脚を使っているように、末脚勝負なら強力三冠馬にも引けを取らない。
前走のGⅡアルゼンチン共和国杯は休み明けでトップハンデ58キロを背負いながら終始インコースに閉じ込められ、ラストの伸びを欠いたが、負けて強しの内容で、むしろ着順を落とした事により、今回全く注目されない立場になったのは馬券を買う側には好都合。
今回は休み明けを叩かれた上積み、前走からの斤量減、外が伸びる今の東京で魅力的な枠順と好走条件は十分に揃った。
ユーキャンスマイルがGⅠを狙うには左回りのジャパンカップが最も適した条件・舞台で、今年はキャリアの中で一番充実しており、もちろん来年は今の状態を保てるかは分からない。
数少ないチャンスで、勝ちたいのはどの馬どの陣営も同じで、勝負が懸かった大舞台。
当たり前の事だが三冠馬3頭に対して忖度無用だし、世間の目も全く気にする必要は無い。
前を射程に入れた位置から昨年の天皇賞・秋のような脚を使えれば頭までの可能性も考えられる。
岩田騎手には全馬まとめて負かすぐらいの気合いで乗って欲しい。
無敗のクラシック三冠馬コントレイルはGⅠ菊花賞は適距離ではなかったが地力でアリストテレスとの叩き合いを制して三冠を勝ち取った。
本質的には2000mくらいが最も力を発揮出来る距離と思うが、ダービー、菊花賞の走りから、血統・馬体では判別出来ないポテンシャルがあるのだろう。
試練の3000m菊花賞をクリアして、今回は古馬相手・同じ三冠馬2頭との対決と、楽ではないが、今年無敗のままジャパンカップを優勝するようなら将来種牡馬として世界中から大きな注目を浴びる存在になる。
1着と2着では今後の種牡馬としての価値が全く違ってくるだけに、三冠馬3頭の中では一番負けるのが許されない立場であると言える。
今回が本当の正念場だが、もちろんあっさりクリアするだけのポテンシャルは秘めている。
外国馬・フランスのGⅠ馬ウェイトゥパリスは過去の凱旋門賞馬とも大接戦を演じた事もある実力馬で、本当ならもう少し注目されるべき馬。
日本の高速馬場に苦戦する欧州馬だが、今年の府中は例年より時計を要する馬場で、ウェイトゥパリスにとってはそこに僅かながら好走する望みがある。
こんな世界情勢ながら来日、それでもメンバーがメンバーだけにほとんど注目はされていないが、現役最後のレースにジャパンカップを選んでくれた事は日本の競馬ファンとして大歓迎。
外国馬が居てこそのジャパンカップだし、その存在意義を示す意味でも健闘を期待したい。
馬券はデアリングタクト、ユーキャンスマイル中心で、買い方はギリギリまで考えたいですね。
それでは皆さん、グッドレースを!!




