本日、京都競馬場では3200m伝統の長距離戦、天皇賞・春が行われます。










2012年の天皇賞・春はビートブラックが優勝。






ビートブラックは父ミスキャスト、母アラームコールという血統の牡馬。







ビートブラックは2009年10月にデビュー。

デビューからダート戦を使われ、年が明けた2010年2月に7戦目で初勝利。


昇級し、5月の東京芝2300mの500万(現1勝クラス)で2勝目を上げるが、春のクラシックには既に間に合わず秋を向かえる。


9月、ある意味3歳馬にとってGⅠ菊花賞への出走権が懸かった1000万・兵庫特別(現2勝クラス)で5番人気ながらGⅠ菊花賞へ望みを繋げる勝利を上げる。


向かえたGⅠ菊花賞では春のクラシックホースは不在も明らかな格下馬に見られ13番人気の低い評価だったが、好位からしぶとく食い下がり、大健闘の3着と高い長距離適性を見せる。


その後は阪神芝2400mの準オープン、翌年も阪神芝2400mのオープン特別・大阪ハンブルクカップを優勝する。



長距離戦で素質が開花してきたビートブラックは2011年5月1日のGⅠ天皇賞・春に出走。


昨年のGⅠ菊花賞3着、前走も芝2400m戦で優勝していたが、一戦級のステイヤー相手では厳しく、9番人気7着と敗れてしまう。


10月のGⅡ京都大賞典では先行する競馬で2着に食い込んだが、結局この年はオープン特別の1勝に終わる。




大波乱の主役へ







GⅠ菊花賞3着馬として前年の長距離重賞では何度か上位人気に支持されながらも、良い結果を出せなかったビートブラックは2012年を向かえる。


しかし、2012年に入っても3連敗し、5月のGⅠ天皇賞・春に出走する。


この年の天皇賞・春には前年のクラシック三冠馬オルフェーヴル、日本ダービー、菊花賞でオルフェーヴルの2着だったウインバリアシオン、前年の天皇賞・秋を制したトーセンジョーダン、連覇を狙うヒルノダムールなどの強豪が出走し、ビートブラックはノーマーク同然の14番人気。



スタートし、最内枠からビートブラックがハナを主張するが、ゴールデンハインドが外から先手を取りに来た為、ビートブラックは2番手に控える。

3番手ナムラクレセントから早くも5馬身程の差が開き1周目のスタンド前に差し掛かる。

有力各馬はトーセンジョーダン、ウインバリアシオン、ヒルノダムール、オルフェーヴルの順でレースを進める。


前半の1000mは1分ジャストで、3200m戦にしてはやや速いペース。


向正面に入り、ゴールデンハインド、ビートブラックが以前先頭2番手だが、徐々に前の2頭は後続を離しはじめ、3番手のナムラクレセントに約10馬身程のリードを付けていく。

その3番手ナムラクレセントから更に10馬身離れた後方で、オルフェーヴルをはじめとする有力各馬はお互いにマークし合い、仕掛けのタイミングを伺う。


3コーナーの坂の上りでビートブラックがゴールデンハインドから先頭を奪い、更に後続は引き離し15馬身以上のリードを広げて坂を下っていく。


有力馬の1頭であるトーセンジョーダンが仕掛け出すと、ようやく後方で待機していた他の有力各馬も追い出しに入る。


3番手のナムラクレセントは後続に捕まり出すが、前の2頭は一杯に追われて十分なリードを保ったまま直線へ。


ビートブラックが3~4馬身程抜け出し、ゴールデンハインドは一杯になるが、まだ6~7馬身の差が後続とはあり、圧倒的1番人気オルフェーヴルは既に前には届かないのは誰の目にも明らかな状況。


残り200を切ってようやくトーセンジョーダン、外からウインバリアシオンが猛追して来るが、リードを保ったビートブラックには届かず、最後は4馬身差を付けてゴール。


GⅠ菊花賞3着馬だったが、評価が低かったビートブラックの単勝は15960円、三連単は145万を超える大波乱に場内は騒然になる。

鞍上の石橋脩騎手はデビュー10年目にして初のGⅠ制覇を飾った。





その後、ビートブラックは長距離王として宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念に出走するが、良い結果は得られず、2012年を終える。



2013年2月のGⅡ京都記念4着後に屈腱炎を発症、長期休養を余儀なくされる。


1年以上振りの2014年のGⅡ産経大阪杯で復帰するが、キズナVSエピファネイアのクラシックホース同士の対決が注目される中、ビートブラックは最下位の8着に敗れる。



レース後、ビートブラックは屈腱炎を再発してしまい、結局これで競走馬登録を抹消、引退する事になりました。



引退後は京都競馬場で誘導馬として活躍しています。












34戦6勝。主な勝ち鞍、GⅠ天皇賞・春、GⅡ京都大賞典2着。







発走は15:40です。










かつては古馬最高の栄誉と言われた伝統の長距離戦、天皇賞・春。



現在は各路線のレース整備がされ、更に海外遠征も積極的に行われるようになり、古馬の有力各馬がそれぞれの適性に合ったレースを選択するようになった影響で、完全に独立した長距離GⅠになりました。




日本競馬は明治時代から優れた軍馬を育成する方針があり、特に戦時の鍛練馬競走を実施していた歴史的背景から長距離競走が多く行われていましたが、近年は生産界のスピード志向化などにより、徐々に長距離戦は衰退している状況。


それに名ステイヤーを多く輩出したリアルシャダイ、ダンスインザダークなどの長距離系種牡馬も、サイアーラインを繋いで行く事が出来ず、ステイヤーの地位低下がより強くなりました。




ファン目線からは長距離戦は面白いとの声は多いんですが、日本で年間行われる3000m以上の平地レースはOP万葉ステークス、GⅢダイヤモンドステークス、GⅡ阪神大賞典、GⅠ天皇賞・春、GⅠ菊花賞、GⅡステイヤーズステークスと僅か6競走。



これからはより距離短縮・廃止される競走も出て来そうですし、時代の流れとはいえ非常に寂しいですね。




そんな中、今年は14頭と、昨年の13頭に続いて少し寂しい頭数にはなりましたが、フィエールマン、キセキと長距離GⅠ馬2頭が出走し、何とか今年の天皇賞・春の権威・存在意義を保った形のメンバーになりました。




今年の天皇賞出走馬達には忘れかけられているその伝統の重みを感じさせるようなレースを期待したいですね。









それでは天皇賞・春の予想を紹介します。

評価順で。






◎14フィエールマン
○1モズベッロ
▲11メイショウテンゲン
△4ダンビュライト
△3トーセンカンビーナ
△2エタリオウ
△7ユーキャンスマイル
△5ミッキースワロー







本命はフィエールマン。


2018年はGⅠ菊花賞、昨年はGⅠ天皇賞・春を優勝し、現在日本最強ステイヤーであるフィエールマン。


天皇賞・春優勝後はGⅡ札幌記念を叩いてフランスに遠征、GⅠ凱旋門賞では欧州の芝が合わなかったのか最下位の12着と大敗。


状態が心配された帰国初戦の前走GⅠ有馬記念では1番人気アーモンドアイに合わせた仕掛けで直線は苦しくなるが、4着に食い下がり改めて自身の底力をアピール。


今回は休み明けになるが、鉄砲は効く馬だし、その長距離実績から天皇賞・春が年間の最大目標になってくる馬なので高いレベルの仕上げで挑むはず。


あいにくの大外枠になってしまったが、14頭立てならそこまで気にする必要は無さそうだし、陣営からは強気なコメントしか聞かれないので、余程の自信があるのだろう。


5歳春と一番脂が乗っている時期で馬も完成されているはずで、簡単に長距離王のタイトルは渡せないところ。











対抗はモズベッロ。


今年1月のGⅡ日経新春杯では52キロの軽量だったが格上挑戦で重賞勝ち、前走のGⅡ日経賞でも2着と今後の中長距離戦線で更なる飛躍が期待されるモズベッロ。


58キロ、3000m超えの距離は初めてになるが、今年に入っての充実・成長振りは目を見張る物があり、逆に今の勢いでどこまで戦えるのか非常に楽しみが大きい馬。


前走のGⅡ日経賞は直線でヨレてしまい、最後まできっちり追えない体勢になりながらも2着、レース振りからは勝ち馬ミッキースワローとはほとんど力量差は無い。


好位、中団とある程度脚質に融通が効く馬で、京都コースとの相性も良く、ロス無く立ち回れる1番枠が当たったのは魅力的。













メイショウテンゲンは昨年のGⅡ弥生賞を優勝、クラシックでは良い結果を残せなかったが、近3走の長距離重賞で、勝ち切れないながらも堅実に走っている。


前走のGⅡ阪神大賞典3着は2着馬とのコース取りの差が出た結果で、ゴール前でジワジワ伸びていた走りはステイヤーとして高い適性を感じさせる。


雨で馬場が渋れば尚良いが、良馬場でもステイヤーとして素質が開花し始めた今の充実振りなら十分に戦える気配はある。















馬券はフィエールマン中心の三連単フォーメーションを考えています。