本日の阪神競馬場では2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズが行われます。








2001年の阪神ジュベナイルフィリーズはタムロチェリーが優勝。




タムロチェリーは父セクレト、母ミスグローリーという血統の牝馬。





タムロチェリーは数少ない青森産馬として2001年7月の小倉競馬場でデビュー。


デビュー戦は11着に大敗したが、続く2戦目は3着とレース振りが良化、3戦目の未勝利戦で初勝利を上げる。


連闘でGⅢ小倉2歳ステークスに挑戦。

完成度が高い2歳馬が出走する重賞競走において、連闘+3戦目でようやく初勝利を上げたタムロチェリーの評価は非常に低く、15頭中15番人気とほぼ注目される存在ではなかった。


しかし、タムロチェリーは道中後方で脚を溜めて進むと直線に入り、先行勢が崩れる展開の助けもあってか、1頭別次元の追い込みでまとめて差し切って優勝。


最低人気馬の重賞勝利という驚きの結果を残した。





名手に導かれ2歳女王へ





小倉2歳ステークスで重賞勝利を飾ったタムロチェリーは、暮れに行われる2歳女王決定戦である阪神ジュベナイルフィリーズを目標に定めて前哨戦のGⅢファンタジーステークスに出走する。


前走の勝利が展開が向いたなど、フロック視されたタムロチェリーは15頭立ての8番人気の低評価。


レースでも後方で見せ場がないまま10着と大敗してしまう。




半信半疑な走りで2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズに出走。


このレースでは短期免許で来日していたフランスの名手オリベエ・ペリエ騎手が騎乗する事になったが、それでもタムロチェリーは18頭立ての7番人気。



レースはアローキャリーがハナを取って逃げ、ファンタジーステークスを優勝した1番人気キタサンヒボタンは先団に付ける。

キタサンヒボタンに並ぶ位置でオースミコスモ、ヘルスウォール、タムロチェリーは中団待機。


3、4コーナーに差し掛かり、依然アローキャリーが良い感じで逃げる。

キタサンヒボタンが良い手応えで徐々に逃げるアローキャリーに馬体を併せて行く。

タムロチェリー鞍上のペリエ騎手は激しく手綱を押して先団を射程に入れて直線の勝負へ。


アローキャリーの逃げ脚は衰えず、後続を引き離しに掛かる。

キタサンヒボタンは案外伸びず、替わってオースミコスモが馬場の中央から差し込んで来る。

外からタムロチェリー鞍上ペリエ騎手がステッキを大きく振りかざして懸命に追って来る。


それでも逃げるアローキャリーは二枚腰を発揮して粘り、それを追うオースミコスモ、キタサンヒボタンだが、残り100m辺りからタムロチェリーがエンジン点火、ペリエ騎手のアクションに応えて矢のような伸びを見せて一気に差し切って優勝。

2着は逃げたアローキャリー、3着にオースミコスモで決着。


鞍上のオリベエ・ペリエ騎手はマイルチャンピオンシップ・ゼンノエルシド、ジャパンカップ・ジャングルポケットに続く3週連続のGⅠ制覇。

冴えに冴えた名手に導かれたタムロチェリーは見事2歳女王の座を掴んだ。




しかし、タムロチェリーは年が明けた2002年桜花賞トライアル・チューリップ賞で2番人気の支持を受けるが12着に敗れる。


それ以降も全く本来の走りが見られず大敗を繰り返し、2003年7月の北九州記念9着を最後に引退、繁殖牝馬になりました。


繁殖牝馬としてオープン特別を含む6勝を上げたタムロスカイなどを輩出するが、2007年癌の為、生まれ故郷の諏訪牧場で亡くなりました。








タムロチェリーは青森産の馬としては同じ諏訪牧場生産馬の菊花賞馬グリーングラス以来のGⅠ優勝馬。

あまり高い期待は掛けられていなかったタムロチェリーですが、人気薄で小倉2歳ステークス、阪神ジュベナイルフィリーズと重賞を2勝し、最優秀2歳牝馬を受賞したのは立派の一言。


強烈な末脚から、かなり高いポテンシャルを持った馬なのは分かりますが、気難しい一面もあった感じの馬で、そんなタムロチェリーの能力を最大限に引き出したオリベエ・ペリエ騎手の手腕は流石です。





発走は15:40です。






香港・シャティン競馬場で行われる香港国際競走と日程が被る中で行われる2歳女王決定戦。



今年は無敗の重賞ウイナー3頭+クラヴァシュドールといった図式の阪神ジュベナイルフィリーズで、下馬評的にも注目されている有力馬が非常に強そうな感じ。



しかし、その上位評価されている有力馬の序列を決めるのが難しいレースで、それが馬券的中の大きなポイント。


とにかく評判の高い馬達にとっては同じ舞台で行われる来年の桜花賞に直結して来そうな感じで注目のレースです。







それでは阪神ジュベナイルフィリーズの予想を紹介します。

評価順で。





◎10クラヴァシュドール
○15リアアメリア
▲9マルターズディオサ
△3ウーマンズハート
△4レシステンシア
△6クリスティ





本命はクラヴァシュドール。

同じ厩舎の有力馬リアアメリアとの能力比較が非常に難しかったんですが、素直に両馬の成績を照らし合わせた結果、クラヴァシュドールを上位に取りました。


まずデビュー戦はクラヴァシュドール、リアアメリアともに同じ阪神芝1600mですが、施行時期、直線での騎手の追い加減などから一概には言えないですが、クラヴァシュドールの方が速いタイムで勝利、しかも先団に付けての上がり33秒1をマーク。


もうひとつはお互いの前走の重賞レースでの内容。

こちらもクラヴァシュドール、リアアメリアともに府中のマイル戦ですが、クラヴァシュドールの前走サウジアラビアロイヤルカップは牡馬混合重賞というのがひとつのポイント。

2着に敗れたが、優勝馬サリオスは来年の皐月賞、日本ダービー有力候補の高い素質を持った牡馬で、その馬相手の2着は牝馬限定重賞勝利より価値があると見れる。

日本の現代競馬で時計を過信するのは危険だが、上がり最速の脚で1分32秒9という驚異的なタイムで走破。


相手が格段に強くなる重賞競走でも先行してあれだけ速い上がりを刻めるのは高い能力を持った以外何物でもなく、以上の内容からリアアメリアより普通に強いと見れる。

レース振りを洗い出せば分かるようにクラヴァシュドールが2歳女王に一番近い存在なはず。








対抗はリアアメリア。

デビュー戦は持ったままで大楽勝、前走のアルテミスステークスでも着差以上に強い内容で勝利して2戦2勝。


高い能力は証明済みだが、スタートでの心配、道中の折り合いと全く死角がない訳ではない。


気性的にゴチャついた時など不安要素はある中でスケールの大きなパフォーマンスを見せている為、その不安をかき消しているようにも見える。


高い能力をまだまだ隠し持っている馬で、不安が解消されて馬が完成すればどこまで強くなるかの楽しみは大きい馬だが、現時点で厳しい展開で揉まれた時に気性がどう出るかの心配はある。


もちろん、あっさりもあり得るが反面、前日オッズからそこまで抜けた存在とは思えない。

過信は禁物か。









好調の新種牡馬キズナ産駒マルターズディオサは近2走が非常に良い内容で連勝。

スタートは遅い馬だが、終いはキッチリ自分の脚を使って来そうなタイプで、混戦になれば有力各馬に割って入る可能性はある。









馬券はクラヴァシュドール中心ですが、オッズと相談してギリギリまで買い方を考えます。