本日、中京競馬場で中央競馬下半期のダート総決算、チャンピオンズカップが行われます。








2004年のジャパンカップダート(チャンピオンズカップの前身)はタイムパラドックスが優勝。




タイムパラドックスは父ブライアンズタイム、母ジョリーザザという血統の牡馬。





2001年3月のデビュー戦、500万(現1勝クラス)ともにダートで連勝し、ダービートライアルの青葉賞に挑戦するが11着と大敗。


芝は青葉賞の大敗で見切りをつけ、ダート戦に戻ると順調に勝ち進み、2003年2月までに4勝を上げてオープン入り。


オープン初戦の仁川ステークス2着、11月のトパーズステークスでオープン初勝利。


年が明けて2004年1月のGⅢ平安ステークスで公営・笠松競馬の安藤光彰騎手を背に、直線でクーリンガーとの激しい競り合いをアタマ差制して重賞初勝利を飾る。



王者への下克上






当時、日本のダート界は絶対的な強さを見せていたアドマイヤドンが王者として君臨していた。

アドマイヤドンはタイムパラドックスと同じ松田博資厩舎の所属で、オープンに上がって来たタイムパラドックスの前に立ちはだかる事になる。



重賞制覇を飾ったタイムパラドックスはGⅠフェブラリーステークスに出走。

しかし、距離が短かった事もあるがアドマイヤドンの圧倒的な強さの前に6着に敗退。


4月のアンタレスステークスで2度目の重賞レースを制したタイムパラドックスは6月の大井・帝王賞に出走するが再びアドマイヤドンに敗れて4着。


夏のブリーダーズゴールドカップ(現牝馬限定)、秋の白山大賞典と重賞勝利を重ねたタイムパラドックスは11月3日大井・JBCクラシックに出走する。

しかし、ここでもアドマイヤドンからは突き放された3着と、同厩舎の王者に対して大きく水をあけられる結果が続く。





そして2004年11月28日。

この日は日本中央競馬会創立50周年記念〝ゴールデンジュビリーデー〟として同日にジャパンカップ、ジャパンカップダートと国際招待GⅠ競走が2つ開催された。






タイムパラドックスはこの日の第10競走・ジャパンカップダートに出走。







海外招待馬3頭、地方・船橋からナイキアディライトが参戦。

ダート王者にしてジャパンカップダート優勝に執念を燃やすアドマイヤドンが1番人気。

そのアドマイヤドンとは勝負付けは済んだと見られたタイムパラドックスは4番人気。




レースは外からローエングリンがハナを切ってナイキアディライトが2番手、好位にアメリカのトータルインパクト、ジンクライシス、アドマイヤドンは先団を見る形で中団の位置、タイムパラドックス、イーグルカフェは後方待機。


3コーナーに差し掛かり、ローエングリンが以前逃げ、ナイキアディライトは後退、アメリカのトータルインパクトが積極的に仕掛けて来る、ジンクライシス、アドマイヤドンは良い手応えで外から、タイムパラドックスはインコースに進路を取る。


4コーナーから直線、ローエングリンは後退し、一杯に追われてトータルインパクトが先頭に立つが外からジンクライシスがまとめて交わす勢いで迫り、大外からアドマイヤドンも差し脚を伸ばすが少し反応が鈍い。


その瞬間、空いた内を突いて一気に武豊タイムパラドックスが抜け出す。


馬場の真ん中を伸びて一時は先頭に立っていたジンクライシスだが、タイムパラドックスがどんどん差を広げて他を突き放していく、大外からようやくエンジンが掛かり出したアドマイヤドンが追い込んで来る。


何とかジンクライシスを交わしてアドマイヤドンが2番手に上がるが、その時既にタイムパラドックスは先頭でゴール板を通過した。


大舞台で善戦止まりだったタイムパラドックスはダート王者に対して2馬身以上の差を付けて見事栄冠を掴んだ。



その後タイムパラドックスは先に引退したアドマイヤドンに代わってダート界のトップクラスで川崎記念、帝王賞、名古屋・JBCクラシック、川崎・JBCクラシックなどを優勝。


そして2006年のジャパンカップダートを目指していた調教中に故障を発生、引退し、種牡馬になりました。


種牡馬としてダートグレード競走を優勝したソルテ、トウケイタイガー、その他、多くの地方競馬の重賞馬を輩出しましたが、今年2019年1月に種牡馬を引退、現在は功労馬として余生を過ごしています。









タイムパラドックスは現役時代、同じ厩舎所属のアドマイヤドンに隠れた存在でしたが、華やかなゴールデンジュビリーデーで行われたジャパンカップダートで強烈な印象を残す勝利。

ダート王と言われながらジャパンカップダートでの優勝は無く、執念を燃やしていたアドマイヤドンは2年連続で2着に終わり、レース後、2頭を管理する松田博資調教師のインタビューは何とも微妙な感じでした。



個人的には引退後、産駒のトウケイタイガー(兵庫)が名古屋のかきつばた記念を優勝したのは嬉しかったですね。





発走は15:30です。




先週のジャパンカップと同じく外国馬は不在。


まあ、チャンピオンズカップは既に〝国際招待〟の看板は下ろしているので仕方ないですね。


ダート版のジャパンカップとして本当は外国馬、特にダート競馬の本場アメリカから毎年何頭か出走してくれるのが理想なんですが・・・



それでもチャンピオンズカップは春にUAE・メイダン競馬場で行われるダート世界最高峰の一戦、ドバイワールドカップへ向けての日本代表馬選考競走的な意味合いも強いレース。


更に来年からサウジアラビアで新たにサウジカップなる超高額賞金レースが創設され、ダート競馬がより世界で注目されるカテゴリーになって来そうですね。
(サウジカップに日本馬が諸事情により遠征出来るか分かりませんが)




今年のチャンピオンズカップは長くダート一線級で活躍している馬に加え、今後が楽しみな3歳馬も出走、それに先週に引き続いて世界の一流ジョッキーが多く騎乗と多彩な顔ぶれ。


本日で日本滞在が終わるランフランコ・デットーリ騎手の騎乗振りには注目しておきたいですね。








それではチャンピオンズカップの予想を紹介します。

評価順で。






◎11ゴールドドリーム
○3チュウワウィザード
▲6オメガパフューム
△5クリソベリル
△8ウェスタールンド
△9サトノティターン
△1タイムフライヤー
△4インティ






本命はゴールドドリーム。

これまでGⅠ/JpnⅠで5勝を誇り、メンバー中実績No.1のゴールドドリーム。


チャンピオンズカップは2017年に優勝、あらゆる競馬場で結果を残し、成績を見ても分かるように大舞台で常に堅実に走る馬。


球節炎明けだった前走の南部杯では状態はもうひとつだったようだが、地力で3着を確保。


休み明けを叩かれた上積みは大きく、追い切りも非常に良い動きを見せており、ここを目標にメイチで挑んで来ている可能性が高い。


若い馬が台頭し出しているが、ベテラン馬が長く活躍するのがダート界の常。


ルヴァンスレーヴ不在のダート界を引っ張って来た意地を見せるか。








対抗はチュウワウィザード。

前走のJBCクラシックでは強豪オメガパフュームを下して初のJpnⅠ制覇。


中京コースは東海ステークス2着と好走しているので心配は無いし、競馬場は問わず活躍している馬。


内枠先行が非常に有利な中京ダート1800mで願ってもない好枠を引き当てた今回も、前走同様に前目で先行する競馬を考えているはず。


充実期に入っている今は絶好の状態と思われ、普通に走れば良い結果を期待出来る。









本日が日本でのラスト騎乗になるフランキーデットーリ鞍上のオメガパフュームは苦手と見られていた左回りの前走JBCクラシックで勝ちに等しい2着と好走。

東京大賞典、帝王賞を制した実績から能力的な疑いようは無い。

長く良い脚を使えるのがこの馬の長所で、デットーリ騎手のインタビューからはその長所を理解している感じ。

かつて日本で評価が低かった馬をことごとく栄冠に導いて来た名手。

見事優勝しフライングディスマウントが飛び出すか。









楽勝続きの5戦5勝の3歳馬クリソベリルはダート一線級が相手の今回が真価を問われる戦い。

ここもこれまで同様のパフォーマンスで勝つようならドバイワールドカップなど世界が見えてくる。









馬券はゴールドドリーム中心の三連単が本線、三連複で低評価の馬を相手に押さえたいですね。