本日、盛岡競馬場では秋のダートマイル王決定戦〝Road to JBC〟マイルチャンピオンシップ南部杯が行われます。







2002年のマイルチャンピオンシップ南部杯は地元・岩手のトーホウエンペラーが優勝。





トーホウエンペラーは父ブライアンズタイム、母レインボーブルーという血統の牡馬。



最初はJRAで競走馬登録をされていたが、体質の弱さから未出走のまま岩手競馬に移籍。


大幅に遅れたデビュー戦は4歳(旧表記)の大晦日。

しかし、持っていた素質が高かったのか、最下級条件戦から一気に9連勝を飾る。


2000年7月に連勝は止まったが、更に力を付けてトウケイニセイ記念2着の後、年末の桐花賞で重賞初制覇。



年が明けて2001年、春のシアンモア記念で重賞2勝目を上げると、次走は強気に上半期ダート王決定戦である大井競馬の帝王賞に挑戦し、5着と健闘する。


その後もグレードレースの盛岡・マーキュリーカップ3着、JRA札幌・エルムステークス2着など全国レベルの交流重賞でも十分に戦える力を見せる。


青藍賞で重賞3勝目を上げると地元の大一番、マイルチャンピオンシップ南部杯に出走。

豪華なメンバーの中央勢が揃ったが、アグネスデジタルの2着と大健闘する。


その後に新潟県競馬開催で行われていた朱鷺大賞典を優勝し、交流重賞初制覇。


次の浦和記念2着を経て、年末ダートの大一番、大井競馬の東京大賞典に出走。

JRA、南関東の強豪が相手になったが、中団~好位から直線抜け出し、追い込んで来たリージェントブラフを押さえて優勝。


一気に岩手のみならず、地方競馬のトップホースとなる。



歴代岩手競馬の名馬へ





2002年、地方競馬界の期待を背負う立場になったトーホウエンペラーは中央競馬のダートGⅠフェブラリーステークスに出走。

6番人気でアグネスデジタルの5着と初の中央GⅠでも戦える事を証明する。


3月、名古屋大賞典では58キロの負担重量だったが中央馬を押さえて貫禄勝ち、交流重賞3勝目を上げる。


しかし、その後に出走した帝王賞は5着、ブリーダーズゴールドカップ3着と少し物足りない結果に終わる。


秋、地元重賞の青藍賞連覇を飾り、昨年2着と涙を飲んだ地元の大一番、マイルチャンピオンシップ南部杯に出走。


スターリングローズ、ノボトゥルー、トロットスターなどのJRA勢に加え、船橋から帝王賞馬マキバスナイパーが遠征してくるという強豪メンバーの中、地元の期待を一心に背負ったトーホウエンペラーは2番人気の支持を受けた。


4コーナーでノボトゥルー、スターリングローズなど有力他馬の手応えが怪しくなる中をトーホウエンペラー鞍上菅原勲騎手は持ったまま抜群の手応えで直線に入る。

地元岩手競馬ファンの大歓声を受けて早くも先頭に立った地元の大将トーホウエンペラーは、同じ地元の人気薄だったバンケーティングを引き連れてゴール。


大レースでの地元馬のワンツーフィニッシュに加え、トウケイニセイ~メイセイオペラに続く、岩手競馬スターホース誕生を決定付ける勝利に、岩手競馬のファンは大歓喜を上げた。



その後はジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)6着、東京大賞典は8着に終わり、引退。


2003年1月には地元・水沢競馬場で引退式が行われた後、種牡馬として北海道で繋養される。



しかし、種牡馬として南関東で重賞2勝を上げたクレイアートビュンなどを輩出したが、2014年に種牡馬を引退、現在は功労馬として余生を過ごしています。







トーホウエンペラーは青光りする非常に綺麗な馬でしたね。

グレイトホープ、スイフトセイダイ、トウケイニセイ、モリユウプリンス、メイセイオペラ、そしてトーホウエンペラーと続いている岩手競馬のスターホース達。

そろそろ岩手からトーホウエンペラーに次ぐ大物が出て来そうな感じはするんですが、中々これらのレベルの馬の出現は地方競馬全体に言える事ですが難しいですね。




それにしても2002年のマイルチャンピオンシップ南部杯。

トーホウエンペラーはさておき、バンケーティングが外から伸びて来た時はびっくりしましたね。

最後の直線での実況「バンケーティング!バンケーティング!」からの「岩手の馬2頭でどうしようもない!」は強烈な印象が残っています。





発走は17:30です。


JRA7頭、地元・岩手4頭、笠松2頭、大井、名古屋、北海道各1頭の計16頭で争われます。




昨年はルヴァンスレーヴが優勝、歴代優勝馬はかなりの名馬が名を刻んでいるマイルチャンピオンシップ南部杯。


地方馬の優勝は2002年トーホウエンペラー以来ありません。

16年連続でJRA勢が制している南部杯ですが、地方勢に対してJRA馬は今年も強力な布陣。


そんな中、大井から遠征して来たモジアナフレイバーはヒガシウィルウィン、センチュリオンなどを負かして南関東重賞2勝、交流重賞でも帝王賞5着など、現在の南関東トップホースの1頭。





このレベルの南関東所属馬が南部杯に遠征してくるのは久しぶりな感じで、優勝するまではどうかも、強力JRA勢に割って入る可能性は十分にありそうで、個人的に今年の南部杯で一番注目しています。







それではマイルチャンピオンシップ南部杯の予想を紹介します。

評価順で。





◎4アルクトス
○13ゴールドドリーム
▲3サンライズノヴァ
△5モジアナフレイバー
△14ロンドンタウン
△1ミツバ






本命はアルクトス。

現在重賞を含む3連勝中で、充実振りから今がピークの状態と思わせる。


ゴールドドリームは実績・能力共に抜けた存在なのは百も承知ながら、アルクトス自身はまだまだ成長し、強くなって行きそうな伸びシロがある。


好メンバーだったプロキオンステークスの内容も非常に良かったが、今回の左回りのダートマイルは4戦4勝とベストの距離。


先行力がある馬なので馬場が悪くなっても心配ないし、南部杯出走はジョッキーの進言によるみたいで勝負気配は高そう。


ゴールドドリームより前に付けて早めに抜け出して押し切る形の競馬が出来れば。








対抗はゴールドドリーム。

これまでGⅠ/JpnⅠで5勝の実績を誇る日本を代表するダートホースの1頭。


春のかしわ記念優勝から予定通りの南部杯出走で、状態面での不安は無さそうで、休み明けも問題ない。


昨年の南部杯はルヴァンスレーヴに敗れて2着に終わったが、この馬の評価を下げる敗戦でも無く、今回はそのルヴァンスレーヴの他、オメガパフュームやインティなど、現在のダートトップクラスは不在なのは恵まれた感じはある。


ダートマイルは(5・4・0・1)とベストの距離で盛岡コースの経験もある。


普通に考えればこれまでの成績から一枚も二枚も抜けた存在で、更にタイトルを積み重ねる可能性は高い。








サンライズノヴァは昨年のダートマイルのGⅢ武蔵野ステークスはかなり強い内容で、左回りのダート1600mはベストの舞台。

武蔵野ステークス後は案外な結果が続いたが、前走のプロキオンステークスでは上がり最速をマークしているように末脚の衰えは無さそう。

府中と違ってあまり後ろ過ぎる位置では厳しそうなので、ある程度前を射程に入れた位置からの競馬が出来れば。








大井から遠征して来たモジアナフレイバーは帝王賞で優勝馬オメガパフュームからは少し離されたが、インティ、オールブラッシュ、サウンドトゥルーなどに先着、4着馬ミツバとはほとんど差が無い5着はかなり高い評価が出来る。

賞金が高い地元・南関東限定重賞の埼玉新聞栄冠賞やマイルグランプリなどを蹴って、JRAの強豪相手の南部杯挑戦は立派の一言で、結果はともかく今後の南関東・地方競馬を背負っていくに当たって、この馬自身大きな経験になるはず。

欲を言えばここで良い内容・結果を残して、来年のJRAGⅠフェブラリーステークス挑戦の可能性を思わせる競馬をして欲しいですね。










馬券はアルクトス頭固定の三連単が本線ですが、モジアナフレイバー中心の馬券も少し買いたいと思っています。