午後8時20分を少し過ぎた頃、照明が落ちた。館内は歓声に包まれた。
いよいよ、ローリングストーンズの登場だ!
Jumping Jack Flash のイントロをキースリチャーズが奏でて、登場。ミックジャガーが現れた。あまりに前すぎて実感がわかない。だって、ミックもキースも普通に肉眼で見えるのだから…スクリーンに映し出された彼らの顔は、かえって近すぎてよく見えないほどだ。
 キースとミックが同じステージに現れた瞬間は、やはり涙がこぼれそうになった。
 ストーンズはロックの歴史そのものだ。ミック、キース、チャーリー、ロン。普段は歴史なんて意識することはあまりないが、このときばかりは歴史の目撃者というような気持ちになった。

 62歳のミックは2時間走りっぱなしだった。引き締まった肉体は年齢をまったく感じさせなかった。

今まで行ったコンサートで一番叫んだ。一番我を忘れた。
ドームの後ろの席を振り返った。観客のみんなが点のように見える。ということは彼らから見るとストーンズは点にみえるのだ。55000円はまったくおしくなかった。むしろこのせきでなければ後悔するとさえ思えてきた。